特選掘り出し!:「若き見知らぬ者たち」 物語支えた技巧的な映像
自主製作の「佐々木、イン、マイマイン」(2020年)で注目された内山拓也監督の、商業映画デビュー作。若手の人気俳優がそろったが、描くのは前作同様、片隅で思うに任せぬ人生と苦闘する若者だ。今回は兄弟の物語である。 彩人(磯村勇斗)は昼は工事現場で働き、夜は死んだ父親が開いたカラオケバーを切り盛りしながら、脳の難病を患う母親(霧島れいか)の介護もしている。弟の壮平(福山翔大)は格闘技のタイトル戦を控えた有力選手だが、母親の介護のためにバイトを辞められない。父親の借金の返済にも追われ、彩人の恋人、日向(岸井ゆきの)の助けを借りて、兄弟は心身ともギリギリの生活を送っている。 彩人は誰のせいでもない...