「八犬伝」 盛りだくさんの娯楽時代劇
原作は山田風太郎の同名小説。晩年に失明の苦難に見舞われながらも、28年の歳月を費やして「南総里見八犬伝」を完成させた滝沢馬琴(役所広司)の情熱を、親友の葛飾北斎(内野聖陽)との交流を軸に描く。さらに、八つの珠(たま)を持つ8人の剣士が宿命に導かれて悪に立ち向かうおなじみの物語を、視覚効果とアクション満載で映像化。〝実〟と〝虚〟のパートが交互に展開していく2部構成である。 やはり本作の新味は〝実〟のパートにある。馬琴の壮大かつ奇抜な想像力に舌を巻く北斎、そんな北斎がさらりと描いてみせる挿絵の下描きに刺激を受ける馬琴。憎まれ口をたたきつつも、互いに敬意を抱く2人の友情を、役所と内野ががっぷり四つ...