Gijs Naber
1980年8月08日 生まれ
「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」出演
現代ハンガリー映画界を代表する存在のひとりであるイルディコー・エニェディ監督は、夢を現実のように、そして現実を夢のように描く作家だ。彼女にカンヌ国際映画祭の新人監督賞「カメラドール」をもたらした「私の20世紀」(1989年)では、星がささやき、モノクロ画面とアイリス・イン/アウトを駆使した幻想的なサイレント映画の世界観の中で、性格が正反対の双子の女性の運命がつづられていた。奔放と貞淑を体現するふたりを待ち受けるのはどんな世界だろうか。価値観の転換点となるべき20世紀の到来への現実的な期待と不安を、非現実的なタッチで描くエニェディ監督の鋭利なセンスは、処女長編で十分に感じることができる。 ...
矢田部吉彦
2022.8.25
1942年に出版されたハンガリーの小説を、「心と体と」のイルディコー・エニェディ監督が映画化。20年代の欧州を舞台に一組の男女の遍歴を描く文芸調のメロドラマに、ヒロインを演じたレア・セドゥが現代の息づかいを吹き込んでいる。 貨物船の船長ヤコブ(ハイス・ナバー)が結婚を思い立ち、友人といたカフェで「最初に入ってきた女性と結婚する」と賭けをする。現れたリジー(セドゥ)はヤコブの唐突な求婚を受け入れて、結婚生活が始まった。 運命的に出会った2人が電撃的に恋に落ちる、なんてご都合主義の展開は、今どき誰も使うまい。しかしレア・セドゥなら話は別。謎めいた微笑と一瞬で表情を変えるまなざしに、ヤコブがとり...
2022.8.12
「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」は、「心と体と」で第67回ベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)を受賞した、ハンガリーのイルディコー・エニェディ監督の新作ラブストーリーだ。しかしイルディコーの脚本・演出で、凡庸な恋愛映画になるはずはない。深遠な愛にどっぷりとつかる169分。イルディコー監督に作品への思いや意図をオンラインで聞いた。 謎に包まれた妻を見る夫の視線 ハンガリーの作家ミラン・フストの小説が原作。1920年のマルタ共和国。船長のヤコブ(ハイス・ナバー)はカフェで友人と、店に最初に入ってきた女性と結婚するという賭けをする。現れたのはリジー(レア・セドゥ)という美しい女性...
鈴木隆
2022.8.10
ハンガリーの作家ミラン・フストの小説が原作。1920年のマルタ共和国。船長のヤコブ(ハイス・ナバー)は友人と、カフェに最初に入ってきた女性と結婚するという賭けをする。ヤコブはそこにやってきたリジー(レア・セドゥ)に求婚し、2人だけの儀式の後で幸せなひと時を過ごす。しかしリジーの友人デダン(ルイ・ガレル)が現れ、ヤコブは2人の仲を怪しみ嫉妬を覚えるようになる。第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。