この1本:「ひらいて」 制御不能な感情の発露
高校が舞台のラブストーリーなら掃いて捨てるほどあって、高校生やかつて高校生だった観客の胸をときめかせるが、まあだいたいは大人たちのそれらしい妄想か理想だろう。綿矢りさの小説を首藤凜監督が映画化したこの作品、キラキラ系とはほど遠く、恋心が暴走する。 高校生の愛(山田杏奈)はひそかに同じクラスのたとえ(作間龍斗)に思いを寄せているが、たとえには付き合っている相手がいるらしい。たとえの机にあった手紙を盗み読みして、その相手が美雪(芋生悠)だと知り、愛は美雪に近づく。友達のいなかった美雪は愛を素直に受け入れる。「好きな人の好きな人」を攻略して思いを成就しようという愛の作戦はしかし、思わぬ方向に進む。...