Jacques Audiard
1952年4月29日 生まれ
映画監督「パリ13区」(2021年)「ベイビーガール」(2024年)
「預言者」「ディーパンの闘い」「ゴールデン・リバー」などなど、波瀾(はらん)万丈のドラマを描いてきたフランスのジャック・オーディアール監督による、性別も映画のジャンルも国境も超えた、奇想天外な物語。強烈な登場人物と重厚な映像で、驚きの2時間13分である。 弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)はメキシコの麻薬王のマニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)から、巨額の報酬と引き換えに「女性にしてくれ」という依頼を受ける。リタはマニタスの性別適合手術を手配し、その死を偽装。妻のジェシー(セレーナ・ゴメス)と2人の子をスイスに移住させた。4年後、エミリアと名前を変え女性経営者として成功したマニタスから、子供と...
2025.3.28
名手・オディアール、生々しさ抑え人間に焦点 カラー化で一度は過去のものに モノクローム、白黒の映画がたくさん公開されています。最近の作品に限っても、ケネス・ブラナー監督の「ベルファスト」、マイク・ミルズ監督の「カモン カモン」、アンドレイ・コンチャロフスキー監督の「親愛なる同志たちへ」、今回ご紹介するジャック・オディアール監督の新作「パリ13区」も、みんな、モノクロです。 プロのカメラマンがモノクロで撮影することはむしろ一般的なくらいですから映画を白黒にしても不思議はない。でも、こと映画については、トーキー後に無声映画が消え去ったように、カラーが誕生すると白黒映画は減っ...
藤原帰一
2022.5.09
華やかなパリのイメージと異なり、再開発で高層マンションが並び多文化多人種の人が暮らす13区。時代のリアルな空気感が洗練されたモノクロ画面に映える。デジタルネーティブ世代の赤裸々で生々しい息づかいが聞こえてくる新たな感覚の青春映画だ。 コールセンターで働く台湾系仏人女性のエミリーは、アフリカ系仏人男性の教師カミーユとルームシェアを始める。2人はすぐにセックスするが、ルームメート以上の関係にならない。地方出身でソルボンヌ大学に復学したノラは、パーティーで金髪のウイッグをつけたために、SNSでアダルト動画を配信するセックスワーカーの〝アンバー〟と誤解され、ひやかしの対象になり通学できなくなる。 ...
2022.4.22
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
第77回カンヌ国際映画祭にて主演女優賞と審査員賞ダブル受賞した本作。本当の自分として生きるために、女性として新たに生きることを決意したメキシコ最恐の麻薬王と、彼女との出会いで運命を切り開いていく3人の女性たちの姿を通して、過去と現在、罪と救済、愛と憎しみをスリリングに描き出す。監督・脚本は、「ディーパンの闘い」(2015年)や「ゴールデン・リバー」(18年)を手がけたフランスの名匠ジャック・オーディアール。第82回ゴールデングローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞(ジャック・オーディアール)、脚本賞、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門:カルラ・ソフィア・ガスコン)、助演女優...
パリで暮らす2人の女性、エミリー(ルーシー・チャン)とノラ(ノエミ・メルラン)。エミリーはアパートの同居人となったカミーユと肉体関係を持ち、恋愛感情をいだくものの、カミーユは素っ気ない。ノラは念願の大学復学を果たしたものの、性的サイトの女性アンバー・スウィートと勘違いされて大学にいられなくなる。カミーユへの思いを持ちつつ出会い系サイトを始めるエミリーと、アンバーと奇妙な交流を始めるノラ。性を通して女性たちの生き方を見つめる。 ©PAGE 114 - France 2 Cinéma