キルケゴールから始まった「死刑にいたる病」のセットデザイン 美術賞 今村力、新田隆之:第77回毎日映画コンクール
「死刑にいたる病」で阿部サダヲ演じたサイコパス、榛村が恐ろしかったのは、演技や脚本もさることながら、榛村がいた空間によるところも大きい。第77回毎日映画コンクール美術賞の2人、今村力と新田隆之の仕事である。 白石和彌監督と長く組んできた今村が体調を崩し、旧知の新田と共同で担当することになった。今村の構想を、新田が形にするという役割分担。今村は「相談しながら、まとめていく。スタジオではデザイン通りに仕込めるけれど、ロケセットは匂いとか空気感とか、現場で測るしかない。そこは新田さんに助けられました」。 教会と墓地 哲学者の名前がヒント 選考会では、美術が映画の立役者だ...
勝田友巳
2023.2.05