毎日映コンの軌跡⑦ 女優賞逃した木暮実千代 選考、新人発掘にシフト
演技派の名前が並ぶ男優賞に対し、女優賞にはスターが目立つ。第2回(1947年度)から男女それぞれに演技賞が設けられ、第2、第3回は連続で田中絹代が受賞した。この後第12回まで、女優の主演賞は高峰秀子3回、原節子、山田五十鈴が各2回と、戦前からのスターが妍(けん)を競った。 この間“戦後派”で気を吐いたのが、京マチ子。「偽れる盛装」で第5回の主演賞を受賞した。 この年は、戦前からの大スターで「雪夫人絵図」「帰郷」に主演した木暮実千代が最有力と見られていた。第4回「青い山脈」で助演賞も受賞しており、木暮のおい、黒川鍾信(あつのぶ)の著した評伝によると、「帰郷」の原作者大佛(おさらぎ)次郎が声援...