この1本:逃げた女 ふわっと魔術で謎かけ
思わせぶりの韓国の巨匠、ホン・サンス。どの作品でも事件は起こらず、登場人物のおしゃべりばかり。会話の中身も登場人物も煮え切らず、唐突なカメラワークで戸惑わせる。全てが意味ありげで、見ている方が勝手に深読みするように仕向けている。頭をひねる観客を、ホン・サンスがニヤニヤしながら眺めている風情である。 キム・ミニ演じる今作の主人公ガミは、夫が出張に出て時間ができたので、友だちに会いに行く。郊外のヨンスン(ソ・ヨンファ)は離婚して同性の同居人と暮らす。街中で1人暮らしのスヨン(ソン・ソンミ)は新しい出会いがあったとかで、ウキウキしている。古い知り合いのウジン(キム・セビョク)とは、彼女が働く映画館...