この1本:「小説家の映画」 会話と表情、態度に味
我が道を行く韓国のホン・サンス監督、その作品群はもはや映画の1ジャンル。大したことは起こらないまま登場人物はたわいないおしゃべりに興じ、酒を飲んでくだを巻く。見終わってなんだこれ、と思う向きも多かろうが、その会話とだらしなさにえも言われぬ味がある。 今作の主人公は、久しく書けない有名小説家のジュニ(イ・ヘヨン)。郊外に住む後輩の書店主(ソ・ヨンファ)を訪ねてきた。案内された観光名所で旧知の映画監督ヒョジン(クォン・ヘヒョ)夫妻に遭遇し、3人で散策していると表舞台から遠のいた有名女優ギルス(キム・ミニ)とばったり出会う。ギルスに誘われて会合に赴くと、そこは後輩の書店だった。参加していた詩人とジ...