Reinaldo Marcus Green
ジャマイカが生んだ世界的スターで伝説のレゲエ・ミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱に満ちた人生を映画化した音楽伝記映画「ボブ・マーリー ONE LOVE」。プロデューサーにはボブ・マーリーの妻リタ、息子ジギー、娘セデラが名を連ね、政情不安が激しかった当時のジャマイカで果たしたボブの役割、ミュージシャンとして世界的人気を得た過程を映画化した。監督のレイナルド・マーカス・グリーンは、ボブについての決定版と言われる評伝や伝記を読み込み、家族らからたっぷり話を聞き、その人間像に迫った。 現場につききり「本物にしてくれた」 1976年12月5日、ボブ・マーリーが企画した「スマイル・ジャマ...
鈴木隆
2024.5.25
2大政党が対立する1976年のジャマイカ。国民的アーティストであるボブ・マーリー(キングズリー・ベン・アディル)も、政治闘争に巻き込まれていた。コンサートの2日前に銃撃を受けるが、けがをおしてステージに立つ。その翌日、自身と家族の身を案じ、1人ロンドンに逃れた。ヨーロッパでツアーを敢行し世界的スターの階段を駆け上がっていくが、母国の政情は不安定さを増していく。 ボブの伝記映画だが、描かれるのは主に31歳から亡くなる36歳まで。ジャマイカの政治的混乱や、ボブの女性関係に対する妻の悲嘆、がんなどのエピソードも描かれるが、悲壮感はさほどない。映像の色調も楽曲にそって明るい。遺族が製作に深く関与した...
2024.5.17
国境や言葉の壁は溶けてなくなる ボブ・マーリーとアントニオ・カルロス・ジョビンがいなければ、世界の音楽は選択肢がとても狭いものになっていたのではないだろうか。今や音楽はスマートフォンから流れてくるサブスクリプションが全盛期となって、国境や言葉の壁は溶けてなくなりつつある。その国にパッケージのディストリビューターがいなくても音楽の聞ける時代。ヘッドホンからは米英だけでなく、韓国、タイ、イタリア、アイスランド、ブラジル、もちろんジャマイカなどなどの多種多様な言語とリズムが流れてくる。そんな音楽多様性のオリジネーターが彼らなのである。 1970年代はレゲエの時代になる その片方のボブ・マー...
宮脇祐介
2024.5.13
伝記映画はアカデミー賞好みのジャンルの一つ。この作品はテニスの巨星、ウィリアムズ姉妹の父親、リチャードが主人公だ。映画になるのは偉人か変人だが、リチャードのアクの強さは突出している。いわば、今様米国版「巨人の星」。アカデミー賞では作品、主演男優、助演女優など6賞の候補となっている。 リチャード(ウィル・スミス)は2人の娘、ビーナスとセリーナをテニスのチャンピオンにすると公言し、2人が生まれる前に作った計画書に従って英才教育を施している。独学でテニスを研究し、妻と他の3人の娘も団結協力。近所のテニスコートで毎日練習、有名なコーチの下に押しかけて、タダで面倒を見てくれと頼み込んでは追い返される。...
2022.3.03
〝レゲエの神様〟として今もファンが多いボブ・マーリーの、36年の生涯を描く。ジャマイカで生まれたマーリーは、恵まれない幼少期を経て音楽に目覚め、レゲエの先駆者となる。社会の解放を求めて歌い続けたマーリーの苦悩と葛藤の軌跡を、レゲエの曲に乗せてたどる。 © 2023 PARAMOUNT PICTURES