「ボブ・マーリー:ONE LOVE」 ©2024 PARAMOUNT PICTURES

「ボブ・マーリー:ONE LOVE」 ©2024 PARAMOUNT PICTURES

2024.5.17

「ボブ・マーリー:ONE LOVE」 平和への思いと愛の歌

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2大政党が対立する1976年のジャマイカ。国民的アーティストであるボブ・マーリー(キングズリー・ベン・アディル)も、政治闘争に巻き込まれていた。コンサートの2日前に銃撃を受けるが、けがをおしてステージに立つ。その翌日、自身と家族の身を案じ、1人ロンドンに逃れた。ヨーロッパでツアーを敢行し世界的スターの階段を駆け上がっていくが、母国の政情は不安定さを増していく。

ボブの伝記映画だが、描かれるのは主に31歳から亡くなる36歳まで。ジャマイカの政治的混乱や、ボブの女性関係に対する妻の悲嘆、がんなどのエピソードも描かれるが、悲壮感はさほどない。映像の色調も楽曲にそって明るい。遺族が製作に深く関与したことで、ボブの知られざる側面や平和への思いが伝わる一方、伝記映画としてはやや物足りない部分も。ほぼ全編に流れる愛の歌の数々、名盤「エクソダス」の製作過程も堪能できる。ジャマイカの宗教的思想「ラスタファリ主義運動」が、彼の生涯を読み解くキーの一つとなっている。レイナルド・マーカス・グリーン監督。1時間48分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・あべのアポロシネマほか。(鈴)

ここに注目

ボブ・マーリーがラスタファリ主義運動の熱烈な信奉者だった一面が強調されている。最後のエチオピア皇帝が、キリストの再来だとするアフリカ回帰運動という。その教義はどうあれ、愛を説き、争いを止めようとした精神には頭が下がる。この映画に描かれた平和主義、音楽と共に見直してほしい。(勝)

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