「さすらいのボンボンキャンディ」
34歳の仁絵(影山祐子)は夫が海外出張中で、毎日あてもなく街をさまよっていた。ある日、偶然知り合った48歳の車掌のマサル(原田喧太)と親しくなる。ところが、マサルは突然姿を消してしまう。仁絵はほかの男たちと寝てみるが、心の空洞が埋まることはなく、マサルを捜して街をうろつき続ける。 延江浩の短編小説集「7カラーズ」に収録の同名短編を映画化。影山が圧倒的な存在感を放ってすばらしい。焼酎をバッグに入れて持ち歩き、次々と男と関係を持つ人妻だが、性に溺れるわけではなく、酒にのまれることもない。細やかな心情が次第にリアルな感覚として伝わってくる。生活は安定しているが、心を満たす何かが欠けている。 それ...