「悪い夏」 画面を満たす人間の業と底の見えない欲望
市役所職員の佐々木(北村匠海)は、先輩の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の愛美(河合優実)の弱みに付け込み肉体関係を強要していると知り、正義感の強い宮田(伊藤万理華)と愛美のアパートを訪ねる。しかし、事情を知った裏社会の金本(窪田正孝)は高野を脅迫し、路上生活者に生活保護を受給させ搾取しようとする。一方、金本の手下でドラッグ売人の山田(竹原ピストル)は愛美に佐々木を誘惑させようとする。 染井為人の同名小説の映画化。生活保護制度を食い物にする悪党と、善から悪に変貌する人間を小気味よく出し入れし、道徳観など吹き飛ばす向井康介の脚本が痛快だ。悲惨さや絶望、後悔といった心情さえも凌駕(りょうが)する...