この1本:「猫は逃げた」 緩く鮮やか男女の機微
レディースコミックの作家亜子(山本奈衣瑠)と週刊誌記者の広重(毎熊克哉)は、離婚を決めていた。広重と、同僚の真実子(手島実優)の浮気が原因だが、亜子も担当編集者の松山(井之脇海)と関係を持っている。互いの気持ちは離れていて、あとは飼い猫カンタをどちらが引き取るかだけが問題だ。 「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫と「あの頃。」などの今泉力哉が組んで、R15+指定の恋愛映画を製作する企画の第2弾。第1弾の「愛なのに」と逆に、城定脚本、今泉監督。新しい感覚で恋愛、性愛を描いてきた2人の資質が、今作もうまい具合に調合している。 さて、ふた昔前なら刃傷ざたへと進みそうな関係は、21世紀には猫が...