きた かな
1997年8月22日 生まれ
本連載には「2本の作品を取り上げる」以外の制約がないため、可能な限り〝1本目〟は公開中の新作映画(旧作上映を含む)を取り上げることにしている。もちろんあとから読み返せば、どちらも旧作ということになるわけだが、せっかく「いま」即ち特定の時期に書いているのだから、時期とひも付いた作品を選びたいのだ。 だから、面白い新作映画になかなか巡り合えないと頭を抱えることになる。必ずしも好きな作品ばかりを選んでいるわけではないものの、毎回「今回は苦手だった新作の話」というわけにもいくまい。例によって、ここのところ好ましい映画に当たらず途方に暮れていたのだが、ようやく面白い新作とぶつかった。 目下公開中...
髙橋佑弥
2023.10.29
春画研究者の芳賀一郎(内野聖陽)は、妻に先立たれても春画に没頭する日々を送っている変わり者。ある日、喫茶店で芳賀に出会った春野弓子(北香那)は春画に心を奪われ、芳賀に恋心を抱く。芳賀の担当編集者・辻村(柄本佑)や芳賀の亡き妻の姉・一葉(安達祐実)によって、芳賀と弓子は新たな愛の深みへといざなわれ、覚醒する。 春画にひたすらのめり込む芳賀と弓子がおかしく、辻村ら登場人物はみんな明るく、どこか艶っぽい。見ていくうちに、不思議と誰をも好きになってしまう。好きなものに心底熱中する姿に、すがすがしさがあふれている。弓子の好奇心とピュアな探求心が芳賀の心の奥を解放し、観客の内面までも軽い気分にしてくれる...
2023.10.13
話題を集めたドラマ「ブラッシュアップライフ」で、国内外で多くの賞を受賞したクリエイター水野格による完全オリジナル脚本作品。次々と人が消えると噂されるマンションを舞台に、配達員の青年・丸子と先輩配達員の荒川が、怪しげな住人らの〝秘密〟を知ってしまったことで大事件に巻き込まれていくミステリー。主人公の丸子を演じるのは、「交換ウソ日記」(2023年)で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、「劇場版 君と世界が終わる日にFINAL」「からかい上手の高木さん」「ブルーピリオド」(いずれも24年)と、話題作への出演が続く高橋文哉。丸子の職場の先輩で小説家を夢見る男・荒川役を「あなたの番です」や、「お...
「パレード」「悪人」「横道世之介」「怒り」など数多くの小説が映画化されてきた作家、吉田修一と、「MOTHER マザー」(2020年)、「星の子」(20年)の大森立嗣監督が、「さよなら渓谷」(13年)以来10年ぶりにタッグを組む本作。介護施設での不審死をきっかけに、人間が背負う原罪と本質をあぶり出すヒューマンミステリー。 琵琶湖近くの介護療養施設、もみじ園で100歳の老人が不審死する。殺人事件とにらんだ西湖署の若手刑事、濱中圭介(福士蒼汰)とベテランの伊佐美佑(浅野忠信)は、容疑者と見なした当直の職員・松本郁子(財前直見)への強引な追及を繰り返す。さらに、圭介は妊娠中の妻がいながら、取り調べ室...
江戸文化の裏の華である〝笑い絵〟ともいわれた春画の奥深い魅力を真面目に説く変わり者の春画研究者と、そのしっかり者の弟子という師弟コンビが繰り広げる偏愛コメディ。監督・脚本は、「月光の囁き」(1999年)や「害虫」(2002年)など、先鋭的な作品で映画ファンを唸らせてきた塩田明彦。主人公の〝春画先生〟こと、春画研究者の芳賀一郎を内野聖陽が演じ、芳賀から春画鑑賞を学ぶ春野弓子を演じるのは北香那。共演に柄本佑、白川和子、安達祐実を迎えた。本作は、映倫審査で区分【R15+】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、 日本映画史上初めて、無修正での浮世絵春画描写が実現した。 〝春画先...
監督は、テレビCM監督として活動しながら、短編映画「なぎさ」(2017年)、「Birdland」(2019年)の製作で注目された古川原壮志。サンダンス・インスティテュートの脚本ラボやフィルメックスの人材育成プログラム「タレンツ・トーキョー」に選出され、長編「なぎさ」の企画・脚本を練り上げてきた。 本作が長編デビューとなる。 主人公・文直を演じるのは、近年、NHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」やドラマ「きれいのくに」、映画「はだかのゆめ」(2022年)、「うみべの女の子」(2021年)、米映画「MINAMATA-ミナマタ-」(2020年)など話題作への出演が続く青木柚。妹・なぎさ役に...
美しい村には、ある噂がある――この村では人が喰われるらしい。警察官・阿川大悟が暴く、穏やかな日常に潜む“おそろしい”真実とは。全世界震撼のヴィレッジ・サイコスリラー。 R18+ 配信開始:2022年12月28日 配信:ディズニープラス (C)2022 Disney