映画「いのちの停車場」の一場面=©2021「いのちの停車場」製作委員会

映画「いのちの停車場」の一場面=©2021「いのちの停車場」製作委員会

2021.5.20

いのちの停車場

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

東京の大病院で救命救急医として働く白石(吉永小百合)はある事件の責任をとって退職。実家の金沢に帰郷し、まほろば診療所の在宅医になる。院長(西田敏行)や看護師(広瀬すず)、白石を慕って東京から来た医大卒の野呂(松坂桃李)も加わり、患者の生き方を尊重する在宅医療の現場に向き合っていく。

現役の医師、南杏子の同名小説の映画化。人の死が数字で捉えられがちな時代に、それぞれの死を描くことで生の重みに挑んだ。安楽死や老老介護など身近な問題が映し出され、身につまされる人も多いだろう。ただ、目まぐるしいほどに多くの人が亡くなる。その姿や環境はまちまちだが慌ただしい。もう少し絞り込んで一人一人の生き様に深く入り込んでこそ響くものがある。吉永が持つ柔らかな雰囲気が厳格なテーマを包み込み、広く伝える映画として成立させた。音楽や映像美も絡めた大仰な演出も相まってスター映画としての期待には応えている。成島出監督。1時間59分。神奈川・横浜ブルク13、滋賀・ユナイテッド・シネマ大津ほか。(鈴)

ここに注目

間違いないキャストとスタッフによって描かれるさまざまな形の生と死の物語は、ベテラン歌手のヒットソングメドレーのような安定感と満足感。詰め込み過ぎかとも思ったが、泣かせるための過剰な演出もなくテンポ良く進んでいくおかげで重いテーマなのに息苦しさを感じない。(久)

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