「こんにちは、母さん」
福江(吉永小百合)は東京・向島で、夫が残した足袋店を1人で切り盛りしている。一人息子の昭夫(大泉洋)は大企業の人事部長で、会社の人員整理に悩み、妻とも別居中。昭夫の娘で大学生の舞(永野芽郁)が、家出して福江の元に身を寄せた。福江は路上生活者支援のボランティアに精を出し、まとめ役の牧師、荻生(寺尾聰)に恋もしている。昭夫は母親の変わりように大慌て。 吉永が母親を演じる、山田洋次監督の「母もの」3作目。下町の人情を背景に福江の恋模様を描くコメディーだが、それだけではない。山田監督は現代社会に強いまなざしを向けて、企業の非情さや働くことの意義、老いの不安、戦争の傷痕まで織り込んだ。 「男はつらい...