「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」より  © 2022 Starz Entertainment, LLC

「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」より  © 2022 Starz Entertainment, LLC

2023.10.03

「ジョン・ウィック」名物キャラの若き日を描く前日譚「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」

最新主演作「ジョン・ウィック:コンセクエンス」が9月22日(金)に公開されるキアヌ・リーブス。来日プロモーションはかなわなくなったものの、公開を前に「ジョン・ウィック」シリーズの紹介、俳優としてのキャリアに人となりなど、全方位的にキアヌの魅力に迫ります。

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キアヌ・リーブス主演「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフであり、前日譚(たん)ドラマ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」が9月22日からPrime Videoで配信中(全3話。最終話更新は10月6日)。1970年代の米ニューヨークを舞台に、殺し屋たちの〝聖域〟である「コンチネンタルホテル」の起源がひもとかれていく。
 
主人公はウィンストン・スコット。「ジョン・ウィック」観賞者ならピンとくるだろうが、ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)と深くかかわるコンチネンタルホテル・ニューヨークの支配人だ。彼がいかにして支配人の座に就いたのか、その青年時代が描かれるというわけ。
 
序盤の展開はこうだ。ロンドンで巧みな話術を武器にのし上がろうとする経営者ウィンストン(コリン・ウッデル)は、音信不通状態の兄フランキー(ベン・ロブソン)がニューヨークで起こした事件絡みで強引に古巣へと拉致される。
 
かつての雇い主であり、コンチネンタルホテル・ニューヨークの支配人でもある裏社会のドン、コーマック(メル・ギブソン)が「弟なら兄の居場所を知っているだろう」と逃亡中のフランキーを捜索させるために手を回したのだ。ウィンストンはコーマックに従うふりをしながら、兄を助けようとするのだが‥‥‥。
 

「コンチネンタルホテル」の興味深い裏側が垣間見える

スピンオフ作品は往々にしてサブキャラクターの掘り下げが行われ、〝本家〟の世界観が拡大(ユニバース)していくもの。さすれば視聴者にとって期待ポイントは「どれくらい本家とリンクしているのか」であろう。
 
その点、本作は施設内の殺しがご法度とされている「コンチネンタルホテル」の裏側を垣間見ることができ(殺し屋たちの血染めの服を洗浄するスタッフたちなど、細かい演出が心憎い)、最新作「ジョン・ウィック:コンセクエンス」でも活躍するウィンストンとホテルのコンシェルジュであるシャロンという古株のキャラクターの知られざる過去が明かされ、見進めていくとシリーズファンならおなじみの「あの組織の前身」や「とあるアイテム」の存在が匂わされていく。
 
スピンオフとして求められるであろう役割をきっちり果たしており、「ジョン・ウィック」の約50年前を描いているためジョンは登場しないものの(※第2話時点)、シリーズの根幹にかかわる物語が展開していく。
 

本家をリスペクトしつつも自由度は高い。今後予定される関連作も楽しみ

ただ、トーンやテンションは「ジョン・ウィック」といくらか異なる。本家はネオン色が印象的なスタイリッシュアクションなのに対し、「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」はダークな犯罪映画としてのニュアンスが強く、70年代という時代背景がファッションや音楽からも伝わってくる。
 
第1話の冒頭に用意されたらせん階段でのアクションも臨場感たっぷりではあれど、「ジョン・ウィック」のようにビジュアル的に派手なものとは正反対で、陰影が強調されたフィルム・ノワール風の仕上がり。
 
そこに、多士済々な面々が絡んでくる「チーム戦」なのも「ジョン・ウィック」との差別化といえるだろう。コーマックの殺害計画を立てるウィンストンの周囲には、ベトナム戦争の帰還兵、父が残した道場を守ろうとする娘、ベトナムからやってきたフランキーの恋人で戦士、経験抜群の老スナイパーといった仲間たちから、顔の下を仮面で覆った監視役、不気味な殺し屋コンビ、サイコな処刑人、チャイナタウンの顔役といった濃い面々がズラリ。
 
メル・ギブソンふんするコーマックの暴君ぶりも強烈で、静かにすごんだり激高して部下をめった打ちにしたりと手が付けられない。ただ、これらのくせ者キャラの〝濃度〟は前述した世界観から逸脱しないような範囲に収められている。
 
「ジョン・ウィック」シリーズは現実から飛躍したキャラ立ちが特徴の一つだが、「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」はよりリアル路線の味付けに感じられる。それによって「ベトナム戦争の苦しみ」「モハメド・アリが与えた救い」といった史実を絡めた物語に説得力が増し、雰囲気抜群の廃虚が次々と登場することでニューヨークの犯罪都市感が強まっている。
 
「ジョン・ウィック」シリーズのユニバースであり、現実世界に侵食していく風合いなのも新鮮で、本家をリスペクトしつつも自由度の高さにあふれた本作。今後予定されているさらなる関連作の展開にも、期待が高まる。
 
「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」はAmazon Prime Videoで独占配信中

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ライター
SYO

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1987年福井県生まれ。東京学芸大学にて映像・演劇表現を学んだのち、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て2020年に独立。 映画・アニメ、ドラマを中心に、小説や漫画、音楽などエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。トークイベント、映画情報番組への出演も行う。

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