(左上から時計回りに)「ギルバート・グレイプ」「レヴェナント:蘇えりし者」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」 TM & Copyright © MCMXCIII by PARAMOUNT PICTURES CORPORATION All Rights Reserved © 2023 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. © 2013 TWOWS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. Copyright © 2008 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved. © 2013 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved.

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2023.10.23

美少年、悪党、富豪、復讐者——レオナルド・ディカプリオ、演技の軌跡

1990年代前半にブレークしてから約30年。類いまれな演技力でファンを魅了し続け、常にハリウッドの第一線を走るレオナルド・ディカプリオのキャリアと魅力をさまざまな角度から検証します。

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レオナルド・ディカプリオの最新出演映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」が、10月20日に劇場公開を迎える。2021年末にNetflixで配信された映画「ドント・ルック・アップ」以来の新作となり、同作の劇場公開が一部だったと考えると全国ロードショー作品としては19年の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」以来。ファンにおいては、4年越しにレオ様の雄姿をスクリーンで拝める機会となる。
 
かつ、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」はマーティン・スコセッシ監督との6度目のタッグとなり、米アカデミー賞を含めた演技賞のノミネートや受賞にも期待が高まるところ。そこで本稿では、レオナルド・ディカプリオの〝演技〟に注目し、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」に至るまでの軌跡を振り返ってみたい。
 

「ギルバート・グレイプ」より TM & Copyright © MCMXCIII by PARAMOUNT PICTURES CORPORATION All Rights Reserved

初のオスカーノミネーションを得た出世作「ギルバート・グレイプ」

 まずは、レオナルド・ディカプリオのアカデミー賞ノミネート(6回)をおさらい。
 
「ギルバート・グレイプ」(1993)
「アビエイター」(04)
「ブラッド・ダイヤモンド」(06)
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13)
「レヴェナント: 蘇えりし者」(15)
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)
 
となる。レオナルド・ディカプリオの演技について語るうえで外せないのは、やはり19歳にして第66回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた「ギルバート・グレイプ」であろう。知的障がいを持つ少年の無邪気さ(がゆえの苦しみ)を恐るべき解像度で演じ切り、各方面から激賞を浴びた。兄役のジョニー・デップとの競演も見事で、エバーグリーンな作品として多くの映画ファンの心に刻まれていることだろう。
 
ちなみに、第66回アカデミー賞助演男優賞の他の候補は
レイフ・ファインズ「シンドラーのリスト」
トミー・リー・ジョーンズ「逃亡者」
ジョン・マルコビッチ「ザ・シークレット・サービス」
ピート・ポスルスウェイト「父の祈りを」
であり、このメンバーを見てもディカプリオの演技が与えたインパクトがうかがえるのではないか。
 
次なるアカデミー賞のノミネートとしてはスコセッシ監督との「アビエイター」まで空くのだが、その期間も「ロミオ+ジュリエット」(96)で第47回ベルリン国際映画祭男優賞に輝き、「タイタニック」(97)が映画史に残る大ヒットを記録し、02年にはスコセッシ監督との初タッグ作「ギャング・オブ・ニューヨーク」とスティーブン・スピルバーグ監督×トム・ハンクスの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」が公開。
 
「キャッチ~」では第60回ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされた。キャリアの浮き沈みや、少年性のイメージからの脱却への苦労はあったかもしれないが、いまとなっては話題作にコンスタントに出演していた印象を受ける。
 
いま挙げた「少年性」は、かつてのディカプリオの大いなる武器でもあった。「ロミオ+ジュリエット」や「タイタニック」しかり、若さ/幼さゆえの過ちや痛みを鮮度高く表出でき、観客にダイレクトに届ける特性は、彼ならではといえるだろう。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」においては16歳から21歳までを演じているが(撮影当時は28歳とのこと)、その違和感のなさには驚嘆させられる。
 

「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」より
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苦悩やあがきを熱量高く演じきった「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」

ただ、ディカプリオはここから――つまり「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」と「ギャング・オブ・ニューヨーク」を境に、徐々にワイルド&パッション系へとスライドしていく。その分水嶺(ぶんすいれい)といえるのが、先に挙げた「アビエイター」であろう。実在の大富豪ハワード・ヒューズにふんした本作では製作総指揮も務め、多角的な才能を発揮したディカプリオ。
 
これまでの作品でもしばしば見せていた「感情の爆発」が「アビエイター」ではよりエネルギッシュになり、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」では幸せを模索する夫婦の苦悩やあがきを、痛々しくも熱量高く演じ切った(本作では「タイタニック」のケイト・ウィンスレットと再共演)。
 
「アビエイター」や「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」「J・エドガー」などはシリアスな方面でパッション系演技を披露していたが、コメディーとの掛け合わせで爆発力を生み出したのが「ウルフ・オブ・ウォールストリート」だ。
 
本作ではブッ飛んだ株式ブローカーを怪演し、見る者を爆笑の渦に包み込んだ。特に薬物でラリった状態で車まで這(は)っていくシーンの演技力の無駄遣い感(褒めてます)ったらなく、ディカプリオの新境地を開いた作品といえる。
 
また、栄光と挫折――人生の浮き沈みを味わった人物を演じる技にも磨きがかかり、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」や「ドント・ルック・アップ」では、コメディー部分もドラマ部分もこなせて、さらには情けなくだらしない姿もさらせる万能型俳優としてのすごみを発揮するように。
 

「レヴェナント:蘇えりし者」より © 2023 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

演技の到達点はオスカーを受賞した「レヴェナント:蘇えりし者」。更なる進化も楽しみだ

 一方で、マフィアを探る潜入捜査官にふんした「ディパーテッド」や、夢の中に侵入する産業スパイを演じた「インセプション」、トリッキーな仕掛けが施された「シャッター アイランド」など、複雑な心情表現を要する作品に連続して出演。
 
パッションを常時解放するのではなく「抑制と放出」を巧みに使いこなし、かと思えば「ジャンゴ 繋がれざる者」では悪鬼羅刹(らせつ)の差別主義者をクレージーに演じ、先に述べたワイルド系への道も突き進んでいく(ひげ面で挑んだ「ブラッド・ダイヤモンド」はその〝走り〟といえるかもしれない)。
 
その到達点といえるのはオスカーを勝ち取った「レヴェナント:蘇えりし者」で、家族を殺された男の壮絶な復讐(ふくしゅう)劇を鬼気迫る演技で見せきった。雪山を舞台にした過酷なサバイバルものでもある本作は心身ともに相当な負荷がかかっただろうが、それらを全て〝糧〟としてむさぼりエネルギーに変えていく姿は、「ギルバート・グレイプ」や「タイタニック」の頃とはまるで別人。俳優という生き物の底知れなさを体現している。
 
改めてレオナルド・ディカプリオの歩みを振り返ると、名監督とのコラボレーションの多さに驚かされる。マーティン・スコセッシはもとより、スティーブン・スピルバーグ、サム・メンデス、クエンティン・タランティーノ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、クリント・イーストウッド、クリストファー・ノーラン、リドリー・スコット等々、すさまじいメンバーがズラリ。
 
スコセッシとの次なるタッグ作ではセオドア・ルーズベルト大統領にふんする模様。己を変化させ続けてきたレオナルド・ディカプリオの次なる〝形態〟を、見届けたい。

<画像使用作品一覧>


「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
 4K Ultra HD+ブルーレイ:6589円(税込み)
Blu-ray:2075円(税込み)/ DVD:1572円(税込み)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2023年10月現在の情報です。
© 2013 TWOWS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
 

「ギルバート・グレイプ」
U-NEXTで配信中
※2023年10月現在の情報です。

 

「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」
 Blu-ray:2619円(税込み)/ DVD:1572円(税込み)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2023年10月現在の情報です。
 

「レヴェナント:蘇えりし者」
ディズニープラスのスターで配信中
※2023年10月現在の情報です。

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ライター
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1987年福井県生まれ。東京学芸大学にて映像・演劇表現を学んだのち、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て2020年に独立。 映画・アニメ、ドラマを中心に、小説や漫画、音楽などエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。トークイベント、映画情報番組への出演も行う。

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