2024年を代表する映画、俳優を選ぶ「第79回毎日映画コンクール」。時代に合わせて選考方法や賞をリニューアルし、新たな一歩を踏み出します。選考経過から受賞者インタビューまで、ひとシネマがお伝えします。
2025.1.16
第79回毎日映画コンクール発表 「夜明けのすべて」が日本映画大賞など3冠! 三宅唱監督は2作連続大賞、監督賞
第79回毎日映画コンクールの受賞作・受賞者が決まった。「夜明けのすべて」は日本映画大賞、監督賞、TSUTAYA DISCAS映画ファン賞の3冠を獲得。三宅唱監督は第77回の「ケイコ 目を澄ませて」に続き、大賞、監督賞を受賞した。毎日映コンは今回から、賞立てや選考方法を改革。新たなスタートとなった。
俳優賞の性別撤廃 新たなスタート
「夜明けのすべて」は瀬尾まいこの同名小説が原作。月経前症候群(PMS)とパニック障害という生きにくさを抱えた一組の男女が同じ会社の同僚となり、助け合いながら居場所を見つける物語。三宅監督は「作品への評価は、スタッフや俳優たちと真剣に作ったものが多くの人に愛されたということでうれしい」と喜んだ。
俳優部門は今回から男女の別を撤廃。「主演俳優賞」に河合優実と横浜流星、「助演俳優賞」に池松壮亮とカルーセル麻紀が選ばれた。
河合は「あんのこと」「ナミビアの砂漠」で受賞。2024年は多くの映画、テレビドラマに出演し飛躍の年になった。「学びの多かった2作品で、うれしい。糧になります」。横浜は「正体」で変装しながら逃亡する死刑囚を熱演。企画が始まってから4年がかりで「思い入れの強い作品。評価は幸せ」と喜びを語った。
カルーセルは「一月の声に歓びを刻め」で、性適合手術を受けて女性となった父親を演じた。自身もトランスジェンダーで、性別をなくした俳優賞の最初の受賞者。「仲間たちが喜んでくれました。伝説になるわよ、と」。池松は「ぼくのお日さま」で、フィギュアスケートのコーチ役を好演。「(毎日映コンの)受賞は初めて。本当によかった。嫌われてるんじゃないかと思ってた」と笑った。教え子役の越山敬達もスポニチグランプリ新人賞を受賞した。越山は「率直、びっくりです。初主演作で賞をいただけ、幸せ者です」と喜んだ。
第79回毎日映画コンクール受賞結果
【作品部門】
■日本映画大賞 「夜明けのすべて」(三宅唱監督)
■外国映画ベストワン賞 「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督)
【俳優部門】
■主演俳優賞
河合優実「あんのこと」「ナミビアの砂漠」
横浜流星「正体」
■助演俳優賞
池松壮亮「ぼくのお日さま」
カルーセル麻紀「一月の声に歓びを刻め」
■スポニチグランプリ新人賞
越山敬達「ぼくのお日さま」
【スタッフ部門】
■監督賞 三宅唱「夜明けのすべて」
■脚本賞 濱口竜介「悪は存在しない」
■撮影賞 池田直矢「十一人の賊軍」
■美術賞 林田裕至「箱男」
■音楽賞 石橋英子「悪は存在しない」
■録音賞 浦田和治「十一人の賊軍」
【ドキュメンタリー映画部門】
■ドキュメンタリー映画賞 「映画 ○月○日、区長になる女。」(ペヤンヌマキ監督)
【アニメーション映画部門】
■大藤信郎賞 「私は、私と、私が、私を、」(伊藤里菜監督)
【TSUTAYA DISCAS映画ファン賞】
■日本映画部門 「夜明けのすべて」
■外国映画部門 「インサイド・ヘッド2」