「島守の塔」の完成披露試写会のワンショット

「島守の塔」の完成披露試写会のワンショット

2022.6.30

「完成は奇跡的」「心して見て」監督、キャストが訴え 「島守の塔」完成披露試写会

第二次世界大戦中の最後の官選沖縄知事・島田叡、警察部長・荒井退造を主人公とした「島守の塔」(毎日新聞社など製作委員会)が公開される(シネスイッチ銀座公開中、8月5日より栃木、兵庫、沖縄、他全国順次公開)。終戦から77年、沖縄返還から50年。日本の戦争体験者が減りつつある一方で、ウクライナでの戦争は毎日のように報じられている。島田が残した「生きろ」のメッセージは、今どう受け止められるのか。「島守の塔」を通して、ひとシネマ流に戦争を考える。

勝田友巳

勝田友巳

「島守の塔」の完成披露試写会が6月30日、東京・ニッショーホールで行われた。主演の萩原聖人と村上淳、吉岡里帆と香川京子、五十嵐匠監督がそろって舞台あいさつ。
 


 
■今生きている人たちに見てほしい
第二次世界大戦末期、米軍上陸が迫る沖縄に県知事として赴任した島田叡と、警察部長の荒井退造が主人公。2人は軍部の命令を受けつつ、県民の命を守るため奮闘する。島田付きとなった軍国少女、凜を対比させ、戦争の悲惨さを描く。コロナ禍で、撮影は開始4日後に中止。五十嵐監督ら製作陣が、支援態勢をつくり資金を集め、1年8カ月後に撮影を再開させ、完成にこぎ着けた。
 
舞台あいさつで五十嵐監督は、撮影台本を手に「完成は奇跡的だった。絶対に同じスタッフ、キャストで完成させると決意していた。脚本は敬意と感謝の印」と感慨深げ。
 
島田を演じた萩原は「撮影を再開した時に中断前と現場が変わらず、この映画は生きていると実感した。戦争への共通した思いはあり、今生きている人たちに見てほしい作品になった」と話した。荒井役の村上は「監督の熱量が普通じゃない。いちずな情熱を信頼した。いい顔がたくさん映っている。心して見ていただきたい」と訴えた。
 
■沖縄への祈りささげる気持ち
少女時代の凜を演じた吉岡は「監督から『必ず撮りきるから力を貸して』と言われて衝撃だった。届くべき作品、意義のある作品で、その気持ちが伝わったらいいなと思っている」と思いを語った。香川は後年の凜。「『ひめゆりの塔』に出演し、その後も沖縄と深い関係にあった自分がやらなければいけない役だと思った。〝沖縄さん〟に祈りをささげるような気持ちで参加した」と振り返った。
 
「島守の塔」は7月22日、東京・シネスイッチ銀座で公開。8月5日から、島田の出身地、兵庫県では元町映画館など、荒井の出身地である栃木県の宇都宮ヒカリ座など、沖縄・桜坂劇場など、ゆかりの地で順次公開する。

島守の塔

県民の4人に1人、約20万人が犠牲となった「沖縄戦」。「命(ぬち)どぅ宝、生きぬけ!」と叫んだ 2人の官僚と、「沖縄戦」に翻弄される沖縄県民。それぞれの苦悩と生きることへの奮闘を描き、沖縄本土復帰50周年の節目に「命の尊さ」を次世代に継承する映画が誕生しました。

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

カメラマン
ひとしねま

吉田航太

よしだ・こうた 毎日新聞写真部記者