戦禍の〝ひと〟を描き、今へとつなぐメッセージ:「島守の塔」五十嵐匠監督
映画「島守の塔」には沖縄戦が描かれているものの、主人公は本土出身の2人の内務官僚だ。原作を読んだ五十嵐匠監督は「本土の人が共感できる」と考えたという。兵庫出身の島田叡(萩原聖人)、栃木出身の荒井退造(村上淳)、そして沖縄で生まれ育った架空の比嘉凜(吉岡里帆)。この3人による「トライアングル」の人間関係を映画の核とした。 「僕は青森出身だけど、僕にも作れると思いました」と五十嵐監督。島田に沖縄県知事の辞令が出たとき、神戸の家で妻が断るよう懇願し、娘が泣きながら抱きつく場面がある。「当時、沖縄に行くのは死にに行くようなものでしたから、パパが行くのを必死で止めようとする。そういうことには、感情が入り...
高瀬浩平
2022.7.21