©︎2023「アナログ」製作委員会 ©︎T.N GON Co., Ltd.

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2023.10.12

「基調はブルー」丁寧に毎日を暮らす悟(二宮和也)「アナログ」の美術とは

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ひとしねま

ひとシネマ編集部

現在、大ヒット公開中の「アナログ」(毎日新聞社など製作委員会)の美術が話題になっています。登場する一つ一つの物や色などのこだわりが、出演俳優の演技を引き立たせているというのです。その美術を担当した五辻󠄀圭さんのインタビューを一部抜粋で掲載します。

――タカハタ監督とは初めてのお仕事だったと思いますが、美術のコンセプト面でのリクエストはありましたか?
 
「ブルーを基調にしてほしい」というお題をひとついただきました。これは美術だけでなく衣裳など全体のコンセプトでもあり、僕らとしてはひとつお題があると非常に作りやすいので助かりました。「ピアノ」はもともとのお店が素敵で監督も気に入られていたのですが、テーブルの上にブルーのクロスを敷いたり、小さいテーブルはこちらで用意してその上に深い色味のブルーのタイルを仕込んだりしています。実は悟の車も薄いブルーのプリウスだったりと、至るところにブルーは散りばめられていますね。タカハタ監督はとても細やかでこだわりもある方でしたが、僕ら技術パートのことは基本お任せしてくれたので作業はとてもスムーズでした。

 
――「ピアノ」はどの程度作り込まれているのでしょうか?
 
ロケ撮影でお借りしたお店は、オーナーのこだわりが詰まったカフェで、実際は無国籍風なテイストでした。そこからどちらかと言うと〝引いて〟いった感じで、よりシンプルに大人っぽく、全体のテイストをヨーロッパ調に作り替えていきました。店名が〝ピアノ〟ですから、音楽をモチーフにしたト音記号っぽいデザインを窓の取っ手に組み入れたり、店名ロゴの”P”の字体も音符っぽくデザインしています。壁に描いてある文字はもともとあるものをそのまま活かしているのですが、都内という場所柄、常連さんも外国の方が多いんですよ。英語だけでなくいろいろな国の言語が書いてあったので、念のためひとつひとつ意味を調べて映しても問題のない言葉や文章なのかチェックはしています。
 

――映像ではそれほど出てきませんが、悟の部屋も印象に残ります。
 
ファーストシーンの3カットだけですからね(笑)。悟は〝アナログで家でモノを作るのが好き〟という設定だったので、比較的作りやすかったです。デザイナーという職業と悟の少年性があれば成立するかなと。細々としたモノが多く置いてありますが、きちんと整理整頓ができて、丁寧(ていねい)に毎日を暮らしている悟の性格が表れる部屋になっていますね。本の間にあるブロックも雑貨屋さんなどで売っている高価な外国製のもので、あとは、やはりブルーのものを多くしています。今はみんなデジタルで悟のようにドラフター(製図台)はほとんど使わないのですが、いまだにこれを使っているという、悟のキャラが表現しやすかったです。
 
劇場用パンフレットより一部抜粋
インタビュアー:遠藤薫
 
美術:五辻󠄀圭
1970年生まれ、東京都出身。93年、池谷仙克事務所に入社し、キャリアをスタート。97年にフリーとなり、山口修、種田陽平、林田裕至などの美術助手を務め、2007年、小泉徳宏監督「ガチ☆ボーイ」で美術デザイナーとなる。近年の主な作品に「コーヒーが冷めないうちに」(18)、「君は月夜に光り輝く」(19)、「ツナガレラジオ ~僕らの雨降Days~」(21)、「線は、僕を描く」(22)など。

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ライター
ひとしねま

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