「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」

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2025.1.17

「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」 かつてない〝リアルなホラー映画〟

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

次の大統領ドナルド・トランプの若き日を、「聖地には蜘蛛が巣を張る」などの鬼才、アリ・アッバシ監督が映画化。脚本はトランプを長く取材したジャーナリスト、ガブリエル・シャーマン。野心家だが未熟なドナルド(セバスチャン・スタン)は、弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)に気に入られ、富と権力を得る3原則を伝授される。すなわち「攻撃、攻撃、攻撃」「非を絶対に認めるな」「勝利を主張し続けろ」。トランプは教えに忠実に従い、不動産王へとのし上がる。

交渉相手をねじ伏せ、親もだます。取材を基にしているとはいえ相当の演出があるフィクションのはずだが、ニュースで見る傲慢で攻撃的、下品なイメージのトランプが作られていく過程が実にリアル。書き割りのように分かりやすい悪役として描かれるコーンもトランプも、誇張はあるにしても実在したことに驚き。次期大統領の不行跡を実名で映画化する大胆さと合わせ、米国の懐の広さというか自由さに感嘆せざるを得ない。2時間3分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(勝)

ここに注目

トランプの幻影がいかに創り出されたか、その一端が読み取れる。虚言と脅迫を駆使して力による支配の徹底を図る姿には、過去の多くの映画で描かれてきた〝アメリカの良心〟はかけらもない。かつてない〝リアルなホラー映画〟を凝視すべし。(鈴)

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