毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2024.12.06
「劇場版ドクターX」 スクリーンが似合うファイナル
2012年にスタートし、第7シリーズまで放送された人気ドラマの完結編となる劇場版。フリーランスの外科医、大門未知子(米倉涼子)と師匠である神原晶(岸部一徳)の前に、東帝大学病院の新院長、神津(染谷将太)が現れる。彼にはある過去があった。
おなじみのナレーションに西部劇風の音楽、銭湯のシーンに「いたしません」「御意」といったセリフまで、次々とお約束が放たれる小気味良さは、12年間愛されてきた国民的ヒット作だからこそ。第1シリーズにも出演していた森本医師(田中圭)が案内人となり、ついに未知子のルーツが明かされるという、ドラマを見続けてきた者にとっては胸が熱くなる物語もある。軽快なかけ合いで楽しませるベテラン陣のチームワークに加え、重みのある芝居で見せる染谷のキャスティングもいいスパイスに。緊迫感のある緻密なオペシーンと、荒唐無稽(むけい)な治療が混然一体となる展開、海外が舞台となるスケール感も含めて、これぞ「ドクターX」。米倉のスター性も相まって、スクリーンが似合うファイナルとなった。田村直己監督。2時間8分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)
異論あり
長寿ドラマだけに「ドクターX」的世界がしっかりあって、レギュラー俳優陣も息がぴったり。西田敏行も最後の好演を見せている。ただこの世界なら許されるかもしれない終盤の展開は、さすがに……。余計なことを考えず、〝こういうもの〟と見る映画。(勝)