毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2024.9.27
配信チェック:「SHOGUN 将軍」 豪華版時代劇、米で復活
米のテレビドラマの最高峰、エミー賞で18部門を受賞した。ディズニープラスでの配信開始は2月、続編の製作も決まっているが、受賞記念で紹介したい。
戦国末期の日本に英国商船が漂着する。「五大老」の一人で、太閤亡き後の権力闘争のただ中にいた吉井虎永(真田広之)は、船の武器に目をつけ、舵手(だしゅ)のジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャービス)に按針の名を与えて重用する。按針の通訳を、キリシタンの戸田鞠子(アンナ・サワイ)が命じられた。米の作家、ジェームズ・クラベルの小説を映像化した。
五大老の中で孤立しながら、虎永は冷徹に知略を巡らせて権力の頂点に立とうとする。その権謀術策と戦いが物語の縦軸。横軸には、鞠子と関係を深めてゆく按針を通して、封建社会の武士の倫理観、死生観が示される。
真田は、プロデューサーとしても参加。米国から見た「武士道」とはいえ、これまでのハリウッド時代劇のようなトンデモニッポンの描写はなく、セットや登場人物のたたずまい、所作に至るまで違和感がない。「時代劇」が、手間と金を惜しまぬハリウッドで豪華に復活した感がある。時代劇ファンならずともお勧め。全10話。監督は福永壮志ら。(勝)