「彼女の面影」の一場面。 © 2021 Amazon Content Services LLC

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2023.2.10

ボリウッド映画の神様ドキュメンタリーからジュリアン・ムーア主演スリラーまで 2月配信オススメ作品5選:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、大野友嘉子、梅山富美子の3人に加え、各ジャンルの精鋭たちが不定期で寄稿します。

村山章

村山章

「オンラインの森」筆者が持ち回りで、最新配信作品からオススメ作品をピックアップ。毎月10日に更新し、注目ポイントを解説します。ネクストブレークは、きっとここから!
 

ボリウッドの巨匠、ヤシュ・チョープラのドキュメンタリー「ロマンチスト ボリウッド映画の神様」

「RRR」や「エンドロールのつづき」など、ますます映画ファンには無視できない存在感を放っているインド映画だが、ヒンディー語圏の映画産業、通称ボリウッドを代表する巨匠監督、ヤシュ・チョープラのドキュメンタリーがNetflixで配信される。
 
ヤシュ・チョープラ監督は2012年に80歳で亡くなっており、映画祭上映も含めて日本公開作も少ないが、筆者は遺作となったラブロマンス大作「命ある限り」が好きすぎるので、この監督のことが知りたくてたまらない。同作はボリウッド3大カーンのひとり、シャー・ルク・カーンの主演作で、恋人と自分を引き裂いた神様にあらがって、身を危険にさらし続ける爆弾処理班の男の壮絶なラブストーリー。
 
冒頭は明らかに「ハートロッカー」のパクリなんだけど、そこからの風呂敷の広げ方がすさまじくて、爆破アリ、歌と踊りアリ、切ない三角関係アリ、韓流ドラマもびっくりの記憶喪失アリ、気がつけば感涙までしているというインド映画ならではの貪欲な“全部入りメロドラマ”に圧倒された。インド映画にもチョープラ監督のフィルモグラフィーにも、まだ見ぬ傑作がゴロゴロしているはず。このドキュメンタリーが豊かな世界へといざなってくれるイントロダクションになってくれると信じています!
 
「ロマンチスト ボリウッド映画の神様」は2月14日(火)からNetflixで配信
 
「ロマンチスト ボリウッド映画の神様」
監督:スムリティ・ムンドラ
出演:シャー・ルク・カーン、サルマン・カーン
https://www.netflix.com/title/81617079
 
 

アリソン・ブリーの演技に期待!「彼女の面影」

Netflixオリジナルの奇作「ホース・ガール」やドラマシリーズ「GLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」などで主演しているアリソン・ブリーが、私生活のパートナーでもあるデイブ・フランコと共同脚本を務めたラブコメディー(監督はフランコが担当)。
 
アリソン・ブリーといえば、主演でも助演でも必ず爪痕を残してくれる「オモシロ保証」印の役者であり、予告編を見る限りでは元カレと再会した主人公が元カレの恋路を邪魔しようとする「ベスト・フレンズ・ウェディング」的なイタい物語っぽい。正直、ブリーはイタい役ほど輝くタイプなので、もう痛々しくて笑えないくらいのコメディーを期待。
 
Amazon Prime Videoで独占配信中
 
「彼女の面影」
監督:デイブ・フランコ
出演:アリソン・ブリー、ジェイ・エリス、キアシー・クレモンズ、ハーレイ・ジョエル・オスメント
 
 

©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014

今泉力哉監督×有村架純のタッグ作「ちひろさん」

https://www.netflix.com/title/81486812
 
今泉力哉監督が安田弘之の同名人気コミックを映画化。Netflixでの配信と劇場公開が同時スタートという(たまにあるけど)変則的な試みで、自然体で生きる元風俗嬢を有村架純が演じる。有村架純という役者に関しては、あえて際立った演技をしないというもろ刃の剣のようなアプローチを続けている人だと思っている。それが年々、すごみになってきていると感じていて、この作品とこの役柄とのマッチングによって大化けする可能性があるのではないかと注目しています。
 
「ちひろさん」は2月23日(木・祝)、Netflix全世界配信スタート&全国劇場にて公開
 
「ちひろさん」
監督:今泉力哉
原作:安田弘之
音楽:岸田繁(くるり)
出演:有村架純
 


Erin Simkin / Netflix (C) 2022

リース・ウィザースプーン×アシュトン・カッチャーのラブコメディー「ユアプレイス、マイプレイス」

 リース・ウィザースプーン46歳、アシュトン・カッチャー45歳。ロマンチックコメディーのジャンルにかなりの経験と実績がある2人が同ジャンルで共演。昨今ではラブコメ、ロマコメ系は劇場公開されることが少なく、配信が一手に引き受けている感はあるものの、クオリティーはまちまち。横綱的な存在である2人の顔合わせ、本作で監督デビューを果たす「プラダを着た悪魔」の脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナなど、盤石な布陣でジャンルの健在をアピールしていただきたい。
 
Netflixで配信中
 
「ユアプレイス、マイプレイス」
監督:アライン・ブロッシュ・マッケンナ
出演:リース・ウィザースプーン、アシュトン・カッチャー
  
 

画像提供 AppleTV+

ジュリアン・ムーア主演作「SHARPER 騙す人」

「ザ・クラウン」やスター・ウォーズ・サーガの「キャシアン・アンドー」など、TVドラマの監督として活躍してきたベンジャミン・キャロンが、未映画化の注目すべき脚本を選出する 〝ブラックリスト〟入りしたシナリオを映画化。ジュリアン・ムーア、ジョン・リスゴーら巧者なキャストをそろえて、だましだまされる一筋縄ではいかないストーリーが展開するっぽい、という予告編の情報以外なにもわかっていないのだが、A24作品としては珍しいメジャースタジオが作る変なスリラーの雰囲気があって気になっている。そもそもA24が関わる作品にはかなり幅があるので、その懐の深さを知らしめる作品であってほしい。
 
AppleTV+で配信中
                                                   
「SHARPER 騙す人」
監督:ベンジャミン・キャロン
出演:ジュリアン・ムーア、セバスチャン・スタン、ジャスティス・スミス、ブリアナ・ミドルトン、ジョン・リスゴー


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ライター
村山章

村山章

むらやま・あきら 1971年生まれ。映像編集を経てフリーライターとなり、雑誌、WEB、新聞等で映画関連の記事を寄稿。近年はラジオやテレビの出演、海外のインディペンデント映画の配給業務など多岐にわたって活動中。

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