教師であったの36歳の女性が、家族がいる身でありながら13歳の少年と不倫し、懲役7年の実刑を受けるも少年との長女を服役中に出産したという実際の〝メイ・ディセンバー事件〟。本作は、長い時を経て、親子ほど年が離れたカップルという意味の慣用表現「メイ・ディセンバー」と呼ばれるこの事件を題材にした映画の製作が決まったとの設定で、事件を追う女優、当事者の女性、元少年の、あの時の真相と現在の本心を描き出す。
監督は、「エデンより彼方に」(02年)や「キャロル」(05年)などを手がけたトッド・ヘインズ。そのヘインズ監督が魅了された脚本は、サミーパーチの手によるもの。その完成度の高さから、第96回アカデミー賞脚本賞にノミネートされた。事件を調査していくうちに、自らも変身を遂げていく女優エリザベスを演じたのは、 「ブラック・スワン」(10年)や「 ジャッキー/ファーストレディ 最後の 使命」(16年)などに主演し、映画監督、プロデューサーとしても活躍するナタリー・ポートマン。エリザベスが演じる〝モデル〟である 女性グレイシー役は「エデンより彼方に」(02年)や「アイム・ノット・ゼア」(07年)などでヘインズ監督とは繰り返しタッグを組んできたジュリアン・ムーアが、波乱の人生を選びながらも、価値観を曲げない女性像を体現する。
女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)が次回作の役作りのため、ジョージア州サバンナにやってくる。新作で彼女が演じるのは、かつて世の中を賑わせたメイ・ディセンバー事件の当事者役だ。事件とは、当時36歳の女性グレイシーがアルバイト先のペットショップで知り合った13歳の少年と情事におよび、実刑になったというもの。グレイシーは獄中で相手の少年ジョーとの長女を出産。出所後ふたりは結婚し、双子の兄妹にも恵まれ、周囲の人々に愛されながら平穏な日々を送っていた。グレイシー(ジュリアン・ムーア)とジョー(チャールズ・メルトン)の家を訪れたエリザベスは、グレイシーの心の奥底に潜む、後悔や後ろめたさといった〝隠れた芽〟を探し出そうと、過去の雑誌や資料を集め、人物像に想いを馳せ、考察を繰り返す。そして、いつしかその行動は〝演技のための取材〟の範囲を超えていく。少しずつ浮かび上がってくる真実と、それぞれの人物が秘めていた感情。それらは複雑に絡み合い、彼らの中にある〝歪み〟は、やがてエリザベスをも変えていくことになる。
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公開日: 2024年07月11日
メイ・ディセンバー ゆれる真実
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原題:May December
2023年 /アメリカ /117分 /R15+
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公式サイト: https://happinet-phantom.com/maydecember/
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