2020年から始まった伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」の第6弾。俳優の小栗旬が藤森慎吾を主演に迎え、「シュアリー・サムデイ」（2010年）以来約13年ぶりにメガホンを取った「1／９６」。「TAO」名義でモデルとして活躍し、2013年に「ウルヴァリン：SAMURAI」でハリウッドデビューを果たした岡本多緒が企画、監督、脚本、出演した「サン・アンド・ムーン」。ロサンゼルスで映画制作を学び、ショートフィルムを中心に制作している鬼木幸治監督による奇想天外な展開が待ち受ける「FAAAWWW!!!」。俳優、浅野忠信の「R246 STORY ～224466～」（2008年）以来15年ぶりの監督作は、ゾンビ侍に飛べない鳥、神などが登場する摩訶不思議な物語の「男と鳥」。そして、写真家、映像作家の増田彩来が手がけるノンフィクションとフィクションの狭間を表現した「カフネの祈り」の5作品。

・「1／９６」（監督：小栗旬／出演：藤森慎吾）
その日の勤務を終え、会社を後にした成田（藤森慎吾）は、家族が待つ家とは反対方向へ車を走らせ始める。妻、ふたりの子供と暮らす成田は「俺は不自由で窮屈な毎日を過ごしている。俺はもっとスマートな人生を思い描いていたんだ。」と、夜道を走りながら本音をこぼしていく。

・「サン・アンド・ムーン」（監督：岡本多緒／出演：曽我潤心、岡本多緒、後藤萌咲）
父親の葬式に突如現れた男（曽我潤心）と、彼の存在を知らなかった女（岡本多緒）。気まずい沈黙、ぎこちない会話を経て、やがてふたりが、同じ父の元に生まれた異母きょうだいであるという事実が分かる。失われた時間を取り戻すように、2人が会話を重ねるうちに、それぞれが知らなかった父の顔が浮かび上がってくる。

・「FAAAWWW!!!」（監督：鬼木幸治／出演：亀沢純一、保田泰志、星耕介、石川紗世、市川源、戸枝尚）
河原で険しい顔をした2人のチンピラと、ゴルフクラブを握り笑顔を浮かべる異様な男。チンピラはゴルフボールがあたったと激高しているが、笑顔の男は「でも私、ちゃんと言ったんですよね。『ファー！』って」と全く悪びれず、会話が成り立たない。その日を境に、男たちの身の回りで「ファー！」という声が響くようになってしまい…。

・「男と鳥」（監督：浅野忠信／出演：田中一平、阿部進之介、大原海輝、板橋駿谷）
ゾンビ侍（田中一平）は神から、「この箱を5分後に届けなさい」と頼まれる。男が眠気をこらえながらも進んでいくと、そこへ箒に乗った鳥（阿部進之介）が現れる。箱に関心を示し、男を追いかけ回して奪おうとしてくる鳥だが、鳥がこじ開けようとしても箱は決して開かない。鳥は無理やりゾンビ侍を引き連れ、階段にたどり着く。そこで2人を待ち受けていたのは…。

・「カフネの祈り」（監督：増田彩来／出演：伊礼姫奈、井浦新、田島令子、板谷由夏、山中崇、野澤しおり、栗田愛巳、星野翼、藤﨑ゆみあ、瀬戸芭月、エイト）
東京で暮らす19歳の女子大生・奏良（伊礼姫奈）のもとに祖父（井浦新）の訃報が届く。母（板谷由夏）と妹と共に祖父母の家を訪れると、薄れていた祖父との記憶がだんだん蘇ってくる。幼き日の自分を優しく抱きしめて、嬉しそうに微笑む祖父の姿。奏良は、今この瞬間を噛み締めるようにおもむろにスマートフォンを取り出し、静かに眠る祖父と彼をじっと見つめる祖母の姿を、写真に残すのだった。