この1本:「ニューオーダー」 目の前にある地獄絵図
警告。この映画に善意や救いを期待すると痛い目に遭う。強毒性の劇薬だが、その衝撃に耐えられれば人間や社会への冷徹な洞察にうなること請け合いだ。「或(あ)る終焉(しゅうえん)」「母という名の女」などのミシェル・フランコ監督が、人間社会の本性を暴き出す。格差社会への不満と怒りが臨界点を迎えるとどうなるか。暴力と混乱の果てに築かれるディストピアから、目を離せない。 抗議デモが暴動に発展し、町は大混乱に陥っている。一方、警備員に守られた豪邸に名士が集まり、マリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)の結婚パーティーが開かれていた。高い塀に隔てられた別世界は、塀を乗り越えた暴徒によってたちまち崩壊。倫理...