ほきもと そら
1992年生まれ、映画監督、音楽家「はだかのゆめ」(2022年)監督
2014年に惜しまれつつ閉館した東京・吉祥寺の映画館「吉祥寺バウスシアター」。1925年に吉祥寺初の映画館「井の頭会館」が生まれ、ムサシノ映画劇場、バウスシアターと形を変えながら多くの人に愛された文化空間の約90年が描かれる。 バウスの総支配人だった本田拓夫の著書を元に故青山真治監督が脚本化を進めていたが、青山監督が22年に急逝し、甫木元空(ほきもとそら)監督が引き継いだ。東北から上京して井の頭会館と出合い、その後、劇場社長に任命される主人公を染谷将太、その息子タクオの晩年をロックミュージシャンの鈴木慶一が演じる。 老人となったタクオの回想を入り口に、戦前の活弁、トーキー映画、戦火、経済発...
2025.3.21
第35回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門で10月31日、「はだかのゆめ」がワールド・プレミア上映された。上映後のQ Aには出演した青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元(ほきもと)空監督が登壇した。母親が余命宣告を受けた甫木元監督の実体験を元に、高知県でロケ撮影した。 (C)2022TIFF 甫木元監督「青山作品と上映、夢だったが」 甫木元監督は、3月に急逝した青山真治監督から、大学時代に映画を教わったという。青山監督から「忘れられた日本人」(宮本常一著)を勧められて読んだことをきっかけに小説を書き、後に本作の脚本へと発展した。「映画祭で(青山監督の作品と)...
山田あゆみ
2022.11.01
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
平成と令和の狭間で、社会から取り残され孤立した人々の孤独と狂気を描く。監督・脚本は、多摩美術大学で青山真治監督に師事し、大学在学中に制作した「残光」(2014年)がイメージフォーラム・フェスティバル2014 ジャパン・トゥモロウ部門に、続く「ひこうせんより」(15年)で第4回なら国際映画祭 NARA-WAVE部門に選出され、本作が初の長編となる広田智大。実際に撮影が行われたのは2019年3月、そこから5年の歳月をかけて完成させた。 年老いた母親と団地に暮らすユキコを演じたのは、「王国(あるいはその家について)」(18年)や、舞台・城山羊の会などの笠島智。ゴミ処理施設で働く祐一と次郎を学生時代...
2014年に惜しまれつつ閉館した「吉祥寺バウスシアター」。本作は、その閉館から遡ること90年前に誕生した吉祥寺初の映画館「井の頭会館」から始まる〝おもしろいこと〟をなんでも手がけ、多くの観客と作り手に愛された映画館と、時流に翻弄されながらも劇場を守り続け、娯楽を届けた人々の長い道のりを描く。 監督を務めるのは、バンド「Bialystocks」のボーカルとしても活動し、自身が監督・脚本した映画「はだかのゆめ」(2022年)では小説も出版するなど、各界で活躍する甫木元空。本田拓夫の「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」(文藝春秋企画出版部発行・文藝春秋発売...
余命宣告を受けた母と一緒に暮らす息子のノロ。母親の死期が迫ることを受け入れられないノロと、彼を見守るおんちゃんという妖精のような存在。母と子と、生死を描いた物語。 ©︎PONY CANYON