リ・サンイル / り そうじつ
1974年1月05日 生まれ
監督「流浪の月」(2022年)「ブルーハーツが聴こえる」(2017年)「怒り」(2016年)「許されざる者」(2013年)「悪人」(2010年)「フラガール」 (2006年)
李相日監督の映画は、すべてが濃い。「悪人」「怒り」と人間の奥底に渦巻く激情を解剖してきたが、凪良ゆうの小説を映画化した6年ぶりの新作では、「禁断の関係」が成就されるまでを密度と粘度高く描く。剛腕に圧倒されること必至である。 大学生の文(松坂桃李)は、公園で行き場をなくしていた10歳の更紗(さらさ)(広瀬すず)を連れ帰り、しばらく共に暮らした後で誘拐犯として逮捕される。15年後、更紗は婚約者の亮(横浜流星)と暮らしていたが、ある日偶然入ったカフェで文と再会。文への思いを遂げるため、亮を置いて文の隣の部屋に転居してくる。 世間的には幼児性愛者の誘拐犯とその被害者である文と更紗だが、互いをかけが...
2022.5.14
許されざる関係が永遠に至るまで 李相日監督の新作「流浪の月」は、本屋大賞を受賞した凪良ゆうの同名小説が原作だ。同書を読んで「新しいことができるんじゃないか」と感じ、凪良に自ら手紙を書いて映画化にこぎつけた。骨太の作品で知られる李監督は、禁断の関係を描いた物語に何を見いだしたのか。濃密な映像を生み出す粘りの演出の舞台裏を、語ってもらった。 社会からはみ出した側に立つ 「悪人」「許されざる者」「怒り」など、社会の枠組みから外れた人たちの側に立って、その痛みや苦しみを描いてきた。「流浪の月」は誘拐犯と被害者が心を通わせる物語。世間からは認められない2人の道行きという点ではこれまで...
勝田友巳
2022.5.12
大学生が少女を部屋に連れ帰り、住まわせた女児誘拐事件から15年後。被害者の更紗(広瀬すず)は、事件を知った上で婚約した恋人の亮(横浜流星)と平穏に暮らしていた。ある時訪れたカフェで、事件の加害者とされた文(松坂桃李)と再会する。文は名字を変えて過去を隠し、恋人もいた。更紗は文と過ごした幸福な時間を思い出し、文への思いを抑えられなくなる。