シアターに足を運び丁寧に鑑賞したい、杉田協士監督最新作「彼方のうた」
北米初の大規模映画館、ストランドシアターがオープンしたのは1914年。一度に1人しか見られなかったキネトスコープと呼ばれる映画鑑賞装置が発明された1890年以降、300人ほどの劇場規模(ニッケルオデオンなど)の限界を乗り越え、3千人に迫る観客の映画鑑賞が可能になった技術革新の快挙であった。上昇一路の映画の威勢は13年後、ストランドシアターの約2倍の規模で「映画の大聖堂」と呼ばれたロキシーシアターが登場し、頂点に達する。しかし、第二次世界大戦を迎えて停滞していた観客増加傾向は、1950年代に入ってからテレビの普及により下向き曲線を描くようになり、多くの映画館は廃業や業種変更に追い込まれた。その後...
洪相鉉
2024.1.31