ましま ひでかず
1976年11月12日 生まれ
映画というのは物語やテーマを過度に説明したり、登場人物の感情を強調したりしすぎると、たちまち陳腐になる。それとは正反対のミニマリズムを貫き、観客の想像力と好奇心をかき立ててやまない非凡な映画作家が杉田協士だ。国内外で好評を博した「春原さんのうた」に続く長編4作目の本作も、実に謎めいた魅惑的な映画である。 主人公の書店員、春(小川あん)は、道を尋ねるふりをして寂しげな雪子(中村優子)に接触したり、中年男の剛(眞島秀和)を尾行したりしている。どうやら春と2人の間には小さな因縁があるらしい。やがて2人と交流を重ねるうちに、春の心境に変化が生じる。 今そこにある人生の断片を切り取ったような映像世界...
2024.1.05
ユーゴ・ジェラン監督による「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(原題:Mon Inconnue)」(2021年)を原作に、「きみの瞳が問いかけている」(20年)や「今夜、世界からこの恋が消えても」(22年)の三木孝浩監督がリメーク。主人公の神林リクを中島健人、ヒロインの前園ミナミを映画初出演となるシンガーソングライターのmiletが演じる。 大学時代にお互いに一目惚れして結婚したリクとミナミ。小説家を目指していたリクは、ミナミのサポートもあって一躍人気ベストセラー作家になる。一方、歌手になる夢がままならぬミナミは、毎日仕事ばかりで忙しいリクとのすれ違いの生活に孤独を感じていた...
男女交際禁止の校則が制定された超エリート高校を舞台に、恋愛が禁じられた世界で傷つき、もがきあらがう生徒たちの様子を映し出す。 生徒同士のリーク合戦、理不尽な校則を押し付ける学校側との前代未聞(みもん)のバトルロワイヤルが始まる――! Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」は世界独占配信中 Netflix
太平洋戦争では、ラジオ放送による「電波戦」という戦いが日本軍の戦いを支えていた。ナチスのプロパガンダ戦に倣い「声の力」で戦意高揚・国威発揚を図り、偽情報で敵を混乱させた。そしてそれを行ったのは日本放送協会とそのアナウンサーたちだった。戦時中の彼らの活動を、事実を基に映像化し、アナウンサーたちの苦悩と葛藤、放送と戦争の知られざる関わりを描く。 太平洋戦争の始まりとなるラジオの開戦ニュースと終戦を伝える玉音放送。その両方に関わったのが 天才と呼ばれた和田信賢アナ(森田剛)と新進気鋭の館野守男アナ(高良健吾)だった。1941年12月8日、大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み...
「春原さんのうた」(2021年)で第32回マルセイユ国際映画祭でグランプリを含む3冠を獲得した杉田協士監督による長編4作目。 デビュー作「ひとつの歌」(11年)以来のオリジナル作品となる。 書店員の春(小川あん)は、駅前のベンチに座っていた雪子(中村優子)に道を尋ねるふりをして声をかける。一方で、春は剛(眞島秀和)の後をつけながら、その様子を確かめる日々を過ごしていた。春は、こどもの頃、街中で見かけた雪子や剛に声をかけたことがあったのだ。剛が春の行動に気づいて春の職場に現れ、春が再び雪子に声をかけたことで、それぞれの関係が動き出す。春は2人と過ごす日々の中で、自分自身が抱えている母親への...
大ヒットを記録した「花束みたいな恋をした」(2021年)や、第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞した「怪物」(23年)の脚本家・坂元裕二の最新作は、Netflixとの初タッグとなるオリジナル長編映画。実在する豪華クルーズ船MSCベリッシマを舞台に、ミステリアスな殺人事件と、事件現場にたまたま居合わせてしまった2人が繰り広げるロマンティックコメディ。富裕層の乗客に無心で仕えるバトラーを吉沢亮。ある目的を秘めてクルーズ船に乗り込んだ謎の女性を宮﨑あおいが演じている。「大豆田とわ子と三人の元夫」の演出を手がけた瀧悠輔が監督を務めた。 乗客の理不尽なクレームに、土下座も厭わず対応するその〝プライドのな...
2014年1月から4シーズンに渡ってテレビ朝日系列で放送されてきたドラマ「緊急取調室」。天海祐希演じる叩き上げの刑事・真壁有希子と、クセ者揃いのベテラン取調官たちによる捜査一課の取調べ専門チーム「緊急事案対応取調班」=通称・キントリ。可視化された特別取調室で厄介な被疑者と対峙し、事件の裏に隠された「真実」を暴く人気シリーズの完結編として映画化された。 巨大な台風が甚大な被害をもたらす最中、内閣総理大臣が暴漢に襲撃されるという事件が発生する。警視庁緊急事案に認定され、真壁をはじめとするキントリメンバーが緊急招集された。襲撃犯の取調べを進める中、重要参考人として捜査線上に浮かび上がってきたのは、...
里枝(安藤サクラ)は離婚を経て、子どもを連れ故郷に戻る。森の伐採現場で働く「大祐」(窪田正孝)と知り合い再婚する。ある日、不慮の事故で「大祐」が命を落とす。法要で夫が名前も分からぬ別人であることが分かる。里枝は弁護士の城戸(妻夫木聡)に身元調査を依頼する。 ©2022「ある男」製作委員会
東京を離れ、一人オレンジ農家を営む淳一(相葉雅紀)は、離れて暮らしていた息子、一也(上原剣心)と一緒に暮らし始める。一也は担任教師、絵里(松本穂香)の心配りもあって溶け込んでいくが、折しも近くの森で、奇怪な出来事が続発する。森に遊びに行った一也は、恐ろしいものを目撃する。 ©2022「〝それ〟がいる森」製作委員会
破戒 監督前田和男 出演間宮祥太朗、石井杏奈、矢本悠馬 島崎藤村の「破戒」の映画化。教員の瀬川丑松(間宮祥太朗)は、出自を明かすなという父親の教えを守り、被差別部落出身であることをひた隠しにしてきた。子どもたちに好かれ、下宿先の志保(石井杏奈)に思いを寄せながら、反差別を説く思想家、猪子蓮太郎(真島秀和)に傾倒する。やがて丑松の出自に関するうわさが流れ始める。 ©全国水平社創立100周年記念映画製作委員会