Kogonada
「アフター・ヤン」監督
画面の隅々まで作り込まれ、余計な物が一切映っていない。「コロンバス」のコゴナダ監督は、その美意識を突き詰めたような端正な映像の中に、人間存在の本質を探究していく。 人間そっくりのロボットが普及した近未来。茶葉店を営むジェイク(コリン・ファレル)の家にもヤン(ジャスティン・H・ミン)がいて、中国系の養女ミカの教育係を務めていた。ところがある日、ヤンが突然動かなくなって、ジェイクは修理してくれる技術者を探すことになる。 話しているのは英語だが、画面は米国らしくない。淡い色調、東洋風の衣服、ジェイクがいれるお茶。俳優たちの表情は乏しく、セリフ回しもささやくようだ。小津安二郎監督を敬愛するコゴナダ...
2022.10.21
とってもとっても美しい映画、「アフター・ヤン」が公開されます。監督したのはコゴナダ。風変わりな名前ですが、小津安二郎の映画に数多くの脚本を書いた野田高梧の名前にちなんで、いわば筆名のように監督が選んだものです。これだけでも小津の作品に影響を受けていることがわかりますが、このコゴナダさん、たいへんな映画通なんです。映画論をビデオエッセーとして発表しており、その多くはvimeoというサイトから見ることができます(ホームページは こちら から)。 小津に学んだミニマリズム このコゴナダさんのビデオエッセーが実に魅力的でして、小津安二郎はもちろん、アルフレッド・ヒチコックやスタンリー...
藤原帰一
2022.10.17
生きていくため、そして豊かな暮らしを求めて祖国を離れた韓国人一家。その夢と希望への道のりを4世代にわたり描いた壮大な物語。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなった小説が原作。 Apple TV+にて好評配信中! 画像提供 Apple TV+
茶葉の販売店を営むジェイク(コリン・ファレル)の家で、家族同然に暮らしていたロボットのヤン(ジャスティン・H・ミン)が故障して動かなくなってしまう。ヤンを兄のように慕う養女のミカは悲しみにふさぎこみ、ジェイクはヤンの修理を試みる。ヤンの体内から見つかった特殊なメモリーには、ヤンの〝記憶〟の映像が記録されていた。ジェイクが映像を見ていくうちに、ヤンが秘めていた過去が明らかになる。 ⓒ2021 Future Autumn LLC. All rights reserved.