やました のぶひろ
1976年8月28日 生まれ
映画監督「リンダ リンダ リンダ」(2005年)「天然コケッコー」(2007年)「1秒先の彼」(2023年)「カラオケ行こ!(2023年)「水深ゼロメートルから」(2024年)「告白 コンフェッション」(2024年)「化け猫あんずちゃん」(2024年)
劇中セリフがミーム化 7月25日にNetflixで配信されるや、日本のテレビ部門で初登場1位、週間グローバル8位(テレビ・非英語部門)にランクイン(7月22~28日)した「地面師たち」。作品の口コミはもちろんのこと、「もうええでしょう」や「最もフィジカルで、最もプリミティブで、最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます」といった劇中セリフがミーム化され、現象化と言っていい盛り上がりを見せている。 寄せすぎない選択肢 その立役者の一人が、豊川悦司と共にダブル主演を務めた綾野剛。なんと今年は「地面師たち」を含めてドラマ1本・映画5本が公開される活躍ぶりで、俳優としての表現力の幅広さ...
SYO
2024.8.20
30年以上生きて化け猫になったあんずちゃん(声・森山未來)は、人語を解しスクーターを乗りこなしてお寺の寺男として働いている。和尚の息子が現れて11歳の娘かりん(五藤希愛)を預けていったために、あんずちゃんは夏休みの間の世話係となった。 人を食ったと、あきれるなかれ。タイトルと設定と絵柄から予想される興趣のはるか上を行く佳品。だらしない中年オヤジのごときあんずちゃんは情に厚い人格者(?)で、頼りない父親を、不満だらけでも慕うかりんを見守る。その距離感が絶妙で、多感な少女のひと夏の物語としてみずみずしい。 あんずちゃんにしか見えない貧乏神とか妖怪とかが現れるとぼけたエピソードは脱力系のコメディ...
2024.7.19
「 カラオケ行こ! 」 (山下敦弘監督) 「一月の声に歓びを刻め」 (三島有紀子監督) 「マッチング」 (内田英治監督) 「辰巳」 (小路紘史監督) 「違国日記」 (瀬田なつき監督) まだ半分、楽しい悲鳴 疑問に思う。配信の成長に反比例する劇場の衰退、製作本数の減少などに象徴される世界映画界の危機の中、日本映画界は「無風地帯」なのか。もちろん違うだろう。しかし、海外映画祭をにぎわせた傑作の多くがラインアップされていた今年の前半は、その 盛り上がりに負けず、多くの作品が筆者を興奮させている。 公開順で見れば、数行のストーリーラインでも観客を魅了する...
洪相鉉
2024.7.08
大学山岳部時代からの親友、浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)は登山中に行方不明になった同級生の西田さゆり(奈緒)の慰霊登山に出かけ、遭難してしまう。足の大けがのため死を覚悟したジヨンは、彼女を殺害したのは自分だと告白。2人はたどり着いた山小屋で、朝まで救助を待つことになる。 「カラオケ行こ!」のヒットも記憶に新しい山下敦弘監督が、福本伸行、かわぐちかいじ共作の同名コミックを映画化した。日本人ふたりの物語を、日本人と韓国人の設定に変更。ヤンの緩急自在な芝居により次第に暴力性をあらわにしていくジヨンの存在感が際立ち、ときには関節までおかしな動きをするなど過剰な表現が笑いを誘...
2024.5.31
死を覚悟した親友の最後の告白を聞いてしまった男と、言ってしまった男の一夜の攻防をたっぷりと詳細に描いた「告白 コンフェッション」。生田斗真、ヤン・イクチュンの日韓主演の2人がほぼ出ずっぱりの〝 怪演〟を見せるワンシチュエーションの密室劇である。「カラオケ行こ!」「化け猫あんずちゃん」と新作の公開が続く山下敦弘監督は「キャストたちの魅力をどう引き出すか、そこに特化した作品」と語った。 浅井とジヨンは親友で大学山岳部のOB。16年前、大学の卒業登山中に行方不明となり事故死とされた同級生・西田さゆりの十七回忌の慰霊登山中に、猛吹雪で遭難してしまう。脚に大けがをしたジヨンは死を確信し、16...
鈴木隆
2024.5.30
このドキュメンタリー映画「映画の朝ごはん」は、早朝発のロケバスに積んである朝食のポパイのおにぎりと、映画における制作部という、末はプロデューサー(続けていればだが)、現場では大いなる雑用係のもっとも主役を張りづらい組み合わせの物語である。 おにぎり2個と唐揚げやゆで卵などおかず6種類のうちの一つを選択。そんなシンプルなポパイのおにぎりを大のベテランが子供のように笑顔で語り出す。沖田修一、黒沢清、瀬々敬久、山下敦弘の監督陣、内藤剛志の俳優やスタッフたち。以前取材した東京都稲城市の天地の恵みおにぎり弥平四郎の小椋英沖さんが「おにぎりは人を笑顔にする」と言ったことを思い出させる。 そのお...
宮脇祐介
2023.11.08
小さな頃から何をするにも人よりも1秒早い郵便局員のハジメ(岡田将生)。路上ミュージシャンの桜子(福室莉音)と花火大会でのデートの約束をしたものの、目覚めると翌日になっていた。不思議な出来事の秘密を握っているのは、毎日郵便局にやって来る、何事も人より1秒遅い大学7回生のレイカ(清原果耶)だった。 台湾映画「1秒先の彼女」を監督・山下敦弘、脚本・宮藤官九郎のタッグでリメーク。男女を反転させるという仕掛けを施しているが、オリジナルと同様にいちずさを純愛と捉えるか、独りよがりな行動と見るかで、鑑賞後の印象が違ってくるかもしれない。レトロなインテリアの愛らしさは本作でも健在。そこに加えて、ノスタルジッ...
2023.7.07
キュートな快作の台湾映画「1秒先の彼女」をリメークした山下敦弘監督。「自分の映画作りは、かけ算」と言う。チェン・ユーシュン監督の台湾オリジナル版、日本版脚本の宮藤官九郎、そして主演の岡田将生と清原果耶……。掛け合わせた結果はいかに。 チェン・ユーシュン監督のラブファンタジーをリメーク 「1秒先の彼女」は、何をするにも人より早いせっかちな郵便局員と、必ず遅れるのんびりのバス運転手が、時間の止まった1日に起きる出来事を描くファンタジーでラブコメディー。「リメークを」と持ちかけられてから作品を見た。 「自分が作るという前提だったので、ラストはカタルシスがあってグッときたけど、意...
勝田友巳
2023.7.05
TV アニメ「宝⽯の国」や「BEASTARS」、「映画クレヨンしんちゃんシリーズ」などを手がけ、アニメーター・イラストレーター・漫画家とて活躍する気鋭のクリエイター久野遥子監督と、「リンダリンダリンダ」(2005年)や「天然コケッコー」(07年)、「マイ・バック・ページ」(11年)、「カラオケ⾏こ!」(24年)など、多彩な作品を手がけてきた山下敦弘監督がタッグを組んだ。本作は、実写で撮影した映像をトレースしてアニメーションにする「ロストコープ」という⼿法を採用。⼭下監督を中⼼とした実写映画界のスタッフによる実写班が、実写映画そのままに撮影し、そのお芝居の映像やセリフの録音をもとに、久野監督がス...
原作は、2019年当時、徳島市立高校演劇部に所属する高校3年だった中田夢花が顧問の先生と相談しながら書き上げ、第44回四国地区高等学校演劇研究大会で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した戯曲。大ヒット映画「アルプススタンドのはしの方」(2020年)に続く高校演劇のリブート映画化企画第2弾として、2021年に下北沢小劇場「劇」にて上演され、「リンダリンダリンダ」(05年)や「天然コケッコー」(07年)、「カラオケ行こ!」(23年)など、数々の青春映画を手がけてきた山下敦弘監督によって映画化された。 高校2年の夏休み。体育教師の山本(さとうほなみ)から、プール掃除を指示された ココロ(濵尾咲綺)と...
「カイジ」の福本伸行と、「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじのタッグによる原作コミック「告白 コンフェッション」が、生田斗真、ヤン・イクチュンのダブル主演で実写映画化。 浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)が雪山で遭難。死を覚悟したジヨンは、長年背負ってきた十字架を降ろすため、16年前に2人の同級生西田さゆり(奈緒)を殺害したことを浅井に告白してしまう。しかし、事態は急転。なんとその直後、二人は助かってしまった。死を覚悟した親友の最期の〝告白〟を聞いてしまった男と、言ってしまった男。2人のこの上なく気まずい山小屋での一夜が過ぎていく。 ©2024 福本伸行・かわぐちかいじ/講...
映画の制作現場と食の関わりを追ったドキュメンタリー。ロケバスに積んである朝食のポパイのおにぎりと、映画における制作部という、現場では大いなる雑用係の組み合わせの物語。 ⓒ ジャンゴフィルム. All Rights Reserved.
原作は、「夢中さ、きみに。」(KADOKAWA)で第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞、第24回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した和山 やまの同名人気コミック。 合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)は、ヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける〝恐怖〟を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの間に奇妙な友情が芽生える。 ©2024『カラオケ行こ!』製作委員会
監督は「天然コケッコー」(2007年)や、「ぼくのおじさん」(2016年)の山下敦弘。台湾アカデミー賞で5部門を制したチェン・ユーシュン監督の「1秒先の彼女」を原作に、宮藤官九郎がオリジナルの印象を残しながら、人生の苦みやもどかしさなどのエッセンスを加えて脚本を書いたファンタジー作品。岡田将生がワンテンポ早いハジメ、清原果耶がワンテンポ遅いレイカを演じる。 ワンテンポ早い彼(ハジメ)と、遅い彼女(レイカ)。テンポが違うふたりの〝時差〟ラブストーリー。 ©2023映画『1秒先の彼』製作委員会
1989年結成以降、不破大輔を除き離合集散を繰り返しながら、現在も活動を続ける孤高のビッグバンド「渋さ知らズオーケストラ」。ジャズを基調としつつ、ダンサー、舞台役者など総勢30人を超える熱狂的かつカオスなステージは唯一無二。本作は、不破自身がその原点や印象深いエピソードを語るとともに、黎明期の元メンバーたちがこのバンドで過ごした時間と演奏を振り返りつつ、「渋さ知らズ」の実像に迫るドキュメンタリー。 監督は、2019年に京都大学西部講堂での「渋さ知らズオーケストラ〜天幕講堂渋さ西部大祭」を記録した佐藤訪米。元メンバーでもある佐々木彩子が、ナビゲーターを務め、渋谷毅や林栄一、のなか悟空、加藤崇之...