Rodrigo Sorogoyen
1981年9月15日 生まれ
理想の暮らしを求めて引っ越したら、隣人がサイコパスだった。そんな設定のホラーやコメディーにはいくつも秀作があるが、大抵その隣人は〝理解できない異常者〟だ。理屈も常識も通じず、何を考えているか分からない怪物では、逃げるか戦うかどっちかしかない。しかし本作、一筋縄ではいかない。グローバル化による分断と格差が、背後にずっしりと控えている。 フランスからスペインの農村に、妻のオルガ(マリナ・フォイス)と共に移住したアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)は、夢だった農業を営んでいる。ところが隣に住むシャン(ルイス・サエラ)とロレンソ(ディエゴ・アニード)の兄弟はことあるごとにアントワーヌに難癖を付け、嫌が...
2023.10.27
常日ごろから新たなミステリー&スリラー映画の発掘に余念がない筆者が、先ごろ開催された第35回東京国際映画祭で真っ先に目をつけたのが、コンペティション部門に出品されていた「ザ・ビースト」(2022年)だった。スペインの山間の村に移り住んだ中年のフランス人夫婦が、よそ者の彼らを敵視する地元住民と激しく対立。その思いがけない行く末を描き上げたこの重厚なスリラーは、コンペ審査委員長のジュリー・テイモアに「まさに傑作」と言わしめ、東京グランプリ、最優秀監督賞、同男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3賞を独占した。 シネマの週末 特選掘り出し「ザ・ビースト」評 キーワード「問題を抱えたバディー」 ...
高橋諭治
2022.11.22
東京国際映画祭で東京グランプリはじめ、最優秀監督賞、同男優賞と3冠を制した。日本公開は未定だが、一見の価値あり。どこかで上映されたら、ぜひ注目を。 フランス人の元教師アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)は、妻のオルガ(マリーナ・フォイス)とスペインに移住して農業を営んでいる。隣家のシャンとその弟がアントワーヌを敵視し、執拗(しつよう)に嫌がらせを繰り返す。閉鎖的な共同体で先鋭化しあらわになる、人間の悪意や攻撃性を描く心理スリラー。と言えば、やがてアントワーヌと兄弟の激突に至ると容易に予想できるだろう。しかしロドリゴ・ソロゴイェン監督は巧みな仕掛けを施して、見慣れたジャンル映画に新鮮さを加えてい...
2022.11.11
スペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞で6部門にノミネートされ、ロベルト・アラモが最優秀男優賞を受賞したサスペンスミステリー。高齢女性ばかりをつけ狙う異常な連続殺人鬼が、大都市マドリードに出没。それを追う刑事コンビの苦闘を描く。日本では〈ワールド・エクストリーム・シネマ2017〉にて上映された。 ©2015 TORNASOL FILMS, S.A. – ATRESMEDIA CINE, S.L. – HERNANDEZ FERNANDEZ PC, S.L. – MISTERY PRODUCCIONES A.I.E
スペインの農村に移住して農業を営むフランス人の主人公が、隣人の悪意にさらされ対立を深めてゆくサイコスリラー。 ©Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.