第79回毎日映画コンクール受賞者決定<スタッフ部門>

第79回毎日映画コンクール受賞者決定<スタッフ部門>ひとシネマ

2025.1.16

第79回毎日映画コンクール受賞者決定<スタッフ部門>監督賞は三宅唱「夜明けのすべて」 周防正行監督以来の2作連続受賞

2024年を代表する映画、俳優を選ぶ「第79回毎日映画コンクール」。時代に合わせて選考方法や賞をリニューアルし、新たな一歩を踏み出します。選考経過から受賞者インタビューまで、ひとシネマがお伝えします。

第79回毎日映画コンクールの受賞作・受賞者が決まった。スタッフ部門では、「十一人の賊軍」が撮影賞と録音賞、「悪は存在しない」が脚本賞と音楽賞と分け合った。「夜明けのすべて」の三宅唱監督は、前作「ケイコ 目を澄ませて」(2022年)と続けて監督賞を受賞した。2作連続の監督賞は、今井正(第11回「真昼の暗黒」、第12回「米」「純愛物語」)、黒澤明(第35回「影武者」、第40回「乱」)、周防正行(第51回「Shall We ダンス?」、第62回「それでもボクはやってない」)がいる。


「夜明けのすべて」©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

監督賞 三宅唱「夜明けのすべて」

候補は、入江悠「あんのこと」▽黒沢清「Cloud クラウド」▽白石和彌「碁盤斬り」▽濱口竜介「悪は存在しない」▽三宅唱「夜明けのすべて」▽安田淳一「侍タイムスリッパー」▽山中瑶子「ナミビアの砂漠」。

「夜明けのすべて」は日本映画大賞、TSUTAYA DISCAS映画ファン賞も受賞。三宅監督は前作「ケイコ 目を澄ませて」に続いて2作連続の監督賞。


「悪は存在しない」©2023NEOPA Fictive

脚本賞 濱口竜介「悪は存在しない」

候補は、加藤正人「碁盤斬り」▽野木亜紀子「ラストマイル」▽濱口竜介「悪は存在しない」▽港岳彦「ぼくが生きてる、ふたつの世界」▽安田淳一「侍タイムスリッパー」▽和田清人 三宅唱 「夜明けのすべて」。

「悪は存在しない」は、音楽家、石橋英子のパフォーマンス映像という企画から出発。濵口監督が「ミュージックビデオではなく、映画として作る」と、石橋が住む地域をリサーチしてオリジナル脚本を執筆した。石橋英子は音楽賞を受賞。

長野県の高原に、東京の芸能事務所によるグランピング場建設計画が持ち上がったことから、波紋が広がっていく。


「⼗⼀⼈の賊軍」©2024「⼗⼀⼈の賊軍」製作委員会


撮影賞 池田直矢「十一人の賊軍」

池田直矢「十一人の賊軍」▽浦田秀穂「箱男」▽奥山大史「ぼくのお日さま」▽北川喜雄「悪は存在しない」▽佐光朗「八犬伝」▽月永雄太「夜明けのすべて」――が候補に。

「十一人の賊軍」は、浦田和治の録音賞と合わせて2冠。幕末の新発田藩を舞台に、新政府の大軍と11人の囚人たちの戦闘を描くアクション大作。千葉県内に組まれた大セットでの大がかりな撮影で、池田は毎日映コン初受賞。


「箱男」©︎2024 The Box Man Film Partners

美術賞 林田裕至「箱男」

候補は、安宅紀史「Cloud クラウド」▽今村力 松崎宙人「碁盤斬り」▽磯貝さやか「雨の中の慾情」▽沖原正純「十一人の賊軍」▽佐々木尚「八犬伝」▽林田裕至「箱男」▽YANG仁榮「ラストマイル」。

林田は、第69回「喰女 クイメ」、第71回「シン・ゴジラ」(ともに佐久嶋依里と合同受賞)に続き、3度目の美術賞。安部公房の小説を石井岳龍監督が映画化した「箱男」は、1997年に撮影直前に製作中止となって以来、何度も頓挫してきた。林田は97年からスタッフとして参加。ようやく実現した作品での受賞となった。


「悪は存在しない」©2023NEOPA Fictive

音楽賞 石橋英子「悪は存在しない」

石橋英子「悪は存在しない」▽勝本道哲「箱男」▽佐藤良成(ハンバート ハンバート)「ぼくのお日さま」▽Hi’Spec「夜明けのすべて」▽安川午朗「あんのこと」▽渡邊琢磨「Cloud クラウド」▽渡邊琢磨「ナミビアの砂漠」――が候補。

「悪は存在しない」は、石橋が濱口竜介監督にパフォーマンス用映像の製作を依頼したことから始まった。石橋は同じ撮影素材を使った映像作品「GIFT」に合わせ、即興で演奏するパフォーマンスを行っている。「悪は存在しない」は、濵口の脚本賞と合わせ、2冠。


「⼗⼀⼈の賊軍」©2024「⼗⼀⼈の賊軍」製作委員会

録音賞 浦田和治「十一人の賊軍」

候補は、浦田和治「碁盤斬り」▽浦田和治「十一人の賊軍」▽川井崇満「夜明けのすべて」▽小清水建治「ぼくが生きてる、ふたつの世界」▽田中博信「ミッシング」▽藤丸和徳「あんのこと」▽松野泉「悪は存在しない」。

浦田は第76回「孤狼の血LEVEL2」に続き、2度目の録音賞。前回も同じ白石和彌監督だった。今回は白石監督の「碁盤斬り」でも候補入りしているが、こちらは静かな場面の多い作品。大アクションの受賞作とは対照的で、技量の高さを見せつけた。

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