映画「ラーゲリより愛を込めて」の舞台あいさつ前に「スノーカーペット」を降りる(左から)桐谷健太、松坂桃李、二宮和也、北川景子、中島健人、安田顕=猪飼健史撮影

映画「ラーゲリより愛を込めて」の舞台あいさつ前に「スノーカーペット」を降りる(左から)桐谷健太、松坂桃李、二宮和也、北川景子、中島健人、安田顕=猪飼健史撮影

2022.11.08

二宮和也「ヒーローではなく、人間らしさ息づく山本幡男に」 「ラーゲリより愛を込めて」完成披露

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ひとしねま

ひとシネマ編集部

「ラーゲリより愛を込めて」(毎日新聞社など製作委員会)の公開を1カ月後に控えた8日、東京・六本木で完成披露試写会が開かれた。会場前に映画の舞台となったシベリアの、雪に見立てた白いじゅうたんが敷かれ、出演した二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕と瀬々敬久監督が歩いて入場した。
 


ニノの演技、迫真だった

第二次世界大戦終戦後、旧満州にいた日本兵約60万人がソ連軍に捕らえられ、強制労働を科されたシベリア抑留を、辺見じゅんのノンフィクションを基に映画化。絶望的な状況で希望を捨てずに仲間たちを励まし続けた山本幡男と収容所の人々、彼の帰りを待つ家族の姿を描いた。
 
舞台あいさつでは、山本幡男を演じた二宮が「山本さんはすごい人だが、神がかった存在にはしたくなかった。人間として息づいているようにしたかった」と明かすと、瀬々監督も「聖人君子のヒーローではなく、普通の人として演じたいと言い、貫いた」と応じた。北川は「山本さんもすごい人だが、二宮さんの演技が、本当にそこいるようだった。皆さんが死ぬ気で取り組んでいると、スクリーンから伝わった」と称賛。


 

中島健人「俳優界のアベンジャーズ。自分はスパイダーマンかな」

主役級の俳優が並んだ豪華な配役に、中島は「スターがそろって、俳優界のアベンジャーズ。若手の自分はスパイダーマンのポジション」。瀬々監督は「過酷な労働環境など、演じる場を提供し自由に演じてもらい、俳優たちの化学反応をドキュメンタリーのように撮ることを肝に銘じていた」と振り返った。
 
北川は映画の紅一点、山本の帰りを信じて待ち続ける妻モジミ役。瀬々監督から「サザエさんのような感じを求められた」と明かすと、共演者から「意外」との声が。瀬々監督は「山本さんの息子に話を聞いたら、ドジなお母さんでチャーミングだったというので」と説明。北川は「毎回サザエさんだったらどうするか考えて、深刻過ぎずほっこり温かいシーンにと心がけた」という。これには共演者たちも納得。
 

「戦争はイヤだ」広がる力に

作品の魅力について、二宮は「20~40代の出演者でここまで作り上げたことかな。史実の映画化では広い年代の人たちの見方や価値観が交錯するものだが、限られた年代だけで厚みが出た」と語った。松坂は「山本さんだけでなく、他の人物の生き方や心情も手に取るように分かる」と指摘。桐谷は「この映画が、戦争はイヤだ、幸せがいいという意識が広がる力になると信じている」とアピール。安田も「異国にいる大切な人の帰りを待つ人たちを描いて、より強く愛を提示している」と訴えた。
 

「ラーゲリより愛を込めて」 ©2022 映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989清水香子

二宮は「言いたいこと、やりたかったことは映画の中に置いてきた。見て、感じてもらうものが全て。なかなかない作品で、長く苦しい、重いシーンが続くけれど、じっくり見てほしい」と呼びかけた。
 
12月9日公開予定。

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ラーゲリより愛を込めて

第二次世界大戦後の1945年。そこは零下40度の厳冬の世界・シベリア…。わずかな食料での過酷な労働が続く日々。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」絶望する捕虜たちに、山本は訴え続けた―
山本はどんな劣悪な環境にあっても分け隔てなく皆を励ました。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた日本人捕虜たちの心を次第に溶かしていく。山本はいかなる時も日本にいる妻や4人の子どもと一緒に過ごす日々が訪れることを信じていた。
終戦から8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。たった一人で子どもたちを育てている妻を想い、山本は涙を流さずにはいられなかった。誰もがダモイの日が近づいていると感じていたが、その頃には、彼の体は病魔に侵されてい

ライター
ひとしねま

ひとシネマ編集部

ひとシネマ編集部

カメラマン
ひとしねま

猪飼健史

いかい・けんじ 毎日新聞写真部カメラマン