毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2024.8.23
配信チェック:「地面師たち」 〝尺〟も〝ヤマ場〟も自在に
日本の地上波テレビ各局は、7月に始まった連続ドラマを放送している真っ最中だ。そんな中で今作は、同月下旬に全7話の配信がスタート。記者はテレビドラマの合間を縫って見始めたが、2日間で「一気見」した。地上波連ドラと横一線の「競争」に加わったとして、ひけを取らない。いや、トップ集団を走れる面白さと思う。
地面師とは、土地の所有者を装って金をだまし取る詐欺師のこと。辻本拓海(綾野剛)は地面師に家族の絆を引き裂かれた過去があるが、その道の大物、ハリソン山中(豊川悦司)の導きで詐欺集団の一員に。彼らは大手デベロッパー「石洋ハウス」の部長(山本耕史)らを標的に、100億円超が動く「商談」を持ちかけ……。
実在の会社と巨額詐欺事件がモデルで、地上波では避けられそうな暴力や性描写を含め、緊迫のシーンが続く。もう一つ、今作が計「7話」で、各話の時間にバラつきがある点も注目したい。民放の連ドラと言えば多くは10話前後で、放送時間も各話ほぼ同じ。作品の「ヤマ場」を効果的に設定できるのが、どちらなのかは明らかだ。今作の第6話が37分、最終話が1時間超である理由を考察しつつ見ると、さらに楽しめるのでは。
大根仁監督。ネットフリックスで独占配信中。(屋)