「シン・ウルトラマン」 神永の揺れないブランコと、漕ぎ続けるメフィラス:よくばり映画鑑賞術
「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督)のなかでもっとも印象に残ったのは、神永新二(斎藤工)とメフィラス(山本耕史)がブランコに乗りながら対話をするシーンである【図1】。 【図1】 ジャングルジムでもすべり台でもない 子ども向けの遊具と、2人の「外星人」(劇中では宇宙人のことをこう呼ぶ)が地球の命運について話し合うという状況のギャップが魅力的なシーンであり、このあとの居酒屋のシーンと合わせて少なからぬ観客の興味を集めているようだ。 筆者は、ここで選ばれた遊具がほかならぬブランコであることに注目したい。公園の遊具といえば、ジャングルジムやすべり台やシーソーなどもメジャーだが、こ...

伊藤弘了
2022.6.08