「アイアムアコメディアン」舞台挨拶Q&Aに登壇した(左から)日向史有監督、村本大輔、中川パラダイス=山田あゆみ撮影

「アイアムアコメディアン」舞台挨拶Q&Aに登壇した(左から)日向史有監督、村本大輔、中川パラダイス=山田あゆみ撮影

2022.10.30

「アメリカでは、芸人も若者も社会とつながっている」 ウーマンラッシュアワー村本

第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。

山田あゆみ

山田あゆみ

第35回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門で29日、「アイ アム ア コメディアン」の舞台あいさつとQ&Aが行われた。お笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔を追ったドキュメンタリーで、村本と日向史有監督、相方の中川パラダイスが登壇した。
 

テレビから消え渡米

村本は、政治的発言をきっかけにテレビ出演が激減し、芸人修業のため韓国やアメリカに渡航。しかしコロナ禍で行き場を失った。
 
観客から「日本の笑いとアメリカの笑いの違い」について質問されると、「一番違うのは、芸人の知的レベルですね」と笑いを誘いつつ「(アメリカのコメディアンは)社会の出来事と普段からつながっているから、笑いにする。日本は(自分と社会を)分けているように感じる」と述べた。
 
さらに社会問題との向き合い方が、日本では年齢層によって違うと続けた。「原発をネタにするようになって笑いは増えているんですが、みるみるうちにお客さんの年齢層が上がっていった」と述べ、「アメリカでは同じテーマでも、若い人たちが一緒に聞いていることに驚きました」と振り返った。

 

日向監督「撮影断られたことがない」

「村本さんとの関係をどのように構築していったのか」という質問に、日向監督は「撮影をさせてくださいと言ったときに、一回も断られたことがない。村本さんは何でも撮ってくれというスタンスだった」と答えた。
 
村本は「ほんとに、ずーっと一緒にいた」と続ける。「第三者がどういう目で僕のことを見ているかを作品にしてもらった」と、本音を話せる関係だったことを明かした。
 
日向監督による本作のテレビ版「村本大輔はなぜテレビから消えたのか?」が、衛星放送協会オリジナル番組アワードグランプリに選出されている。観客から「テレビ版と本作とのかぶりがほとんどなかったが、映画のテーマは?」と質問されると、監督は「村本さんの中に、たくさんのテーマがあった」と答えた。

 

「家族が大事」に行き着いた

「テレビ版は、テレビの中の表現の自由に絞ってやりたかった。村本さんといろんな話をさせてもらう中で、家族を大事にしているということに行き着くので、それを撮影させてもらいたかった」という思いを明かした。
 
最後に村本が「実は、5日前に母が亡くなりまして……」と切り出した。直後に「ウソです。今日は母が来ているんです」とサプライズ登場。会場からは拍手が湧き起こり、母親は「ニワトリが一生懸命飛んでるんやというくらい、本人も一生懸命頑張ってるので、これからも末長く応援よろしくお願いします」。村本は「産んでくれてありがとう!」と返し、会場は和やかな空気に包まれた。

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アイ アム ア コメディアン

政治的発言を機にテレビ出演が激減した、ウーマンラッシュアワー村本大輔。自由な笑いを求め韓国、アメリカに渡ったが新型コロナウイルス大流行で行き場を失う。苦悩の中、地元・福井へ向かった村本を、3年間追ったドキュメンタリー。

ライター
山田あゆみ

山田あゆみ

やまだ・あゆみ 1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。

カメラマン
ひとしねま

山田あゆみ

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