第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。
2022.10.27
河合優実主演作「少女は卒業しない」初披露に「映画が放たれた」 東京国際映画祭
第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品された「少女は卒業しない」の、舞台あいさつとQ&Aが26日、行われた。中川駿監督のほか、卒業直前の高校3年生4人組を演じた河合優実、小野莉奈、小宮山莉渚、中井友望が登壇した。
©2022TIFF
小宮山莉渚「当たり前の大切さ感じて」
中川監督はこれが長編映画デビュー。「東京国際映画祭は縁遠いと感じていて、『アジアの未来』という言葉にプレッシャーを感じている」と言いつつ、「作品は自信のある物に作り上げることができたので、きっと喜んでいただける」と意気込みをみせた。
舞台あいさつで「劇場でみなさんと空気を共有しながら見る体験を、かみしめたい」と語った河合は上映後、「映画が放たれていったんだと、深呼吸しちゃうような気分」とホッとした表情を見せた。
©2022TIFF
小宮山は、現在高校2年生。「学生の方はコロナ禍で、卒業式などの学校生活が縮小されているだろうけど、この作品を見て当たり前の学校生活のありがたさ、大切さを感じていただけると思う」と呼びかけた。
中川駿監督「環境音を重視した」
客席からは「ノスタルジックな色味や音楽が極力排除されていたことの意図は」との質問が。中川監督は「この作品は卒業を経験した人に、よりシンパシーを感じていただけるんじゃないか。昔を思い出すきっかけになるような映像の質感を追求した」と明かした。
音については「学校は特殊な音の空間で、環境音を重視した」という。「音でタイミングが分かる。例えば黒板にチョークでカツカツと書く音がしていたら授業中だし、生徒がガヤガヤしゃべっていれば休み時間。そこに吹奏楽とか部活の音が乗れば放課後」。シチュエーションによって違う環境音を取り込もうとこだわった。
©2022TIFF
小野莉奈「オンでもオフでも仲良しに」
俳優陣との初顔合わせの時、中川監督は自分より高校生のリアルを知っているだろうと「セリフは好きにアレンジをしていいし、しゃべりたいことがあったら取り込む」と宣言したそうだ。どの現場でも「とりあえず、この場で仲良くなってほしい」と伝えたという。特に、友人とのやり取りが多かった小野には、共演者とコミュニケーションをとるよう指示したと明かす。
小野は「積極的に話したりご飯に行ったり、ラインのグループを作ったりして、プライベートなことを何でも話せる仲になっていた」とし、「現場では、カメラが回っているときとオフの時、雰囲気が変わらなかった」。中川監督も「そういった積み重ねがあったからこそ、リアルで届くものになったんじゃないか」とうなずいた。
©2022TIFF
中井友望「共感の幅広げるつもりで」
内向的なキャラクターを演じた中井は、中川監督によると「4人の中では陰の部分」。「作品の共感の幅を広げられたらな」という思いで演じたという。上映後には「どうでしたか?と、人と話したい気持ち。本当に良い映画だなと感じました」と笑顔を見せた。
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