交流ラウンジに登壇した山本晃久プロデューサー=山田あゆみ撮影

交流ラウンジに登壇した山本晃久プロデューサー=山田あゆみ撮影

2022.10.29

「ガンニバル」でディズニーに新風吹き込む 山本晃久プロデューサー 東京国際映画祭

第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。

山田あゆみ

山田あゆみ

第35回東京国際映画祭で28日、「交流ラウンジ」にウォルト・ディズニー・ジャパンの山本晃久プロデューサーが登壇した。濱口竜介監督の「寝ても覚めても」や「ドライブ・マイ・カー」などを手がけた山本さんが、映画製作の舞台裏や自身の映画論について語った。

広島の空気流れた「ドライブ・マイ・カー」

「ドライブ・マイ・カー」は元々、韓国の釜山で撮影予定だったが、新型コロナウイルスの影響で撮影が不可能になった。そこで、山本さんが代わりに広島での撮影を提案したという。自身が兵庫県出身で、瀬戸内の風景の良さに思い入れがあったようだ。山本さんは広島で、濱口監督は九州で、ロケ候補地の下見をし、報告し合ったという。
 
広島に行った山本さんは「まず国際会議場に行ってこれはいけるぞ。映画の支えになるかもしれない」と直感を得たのだとか。また、作中で主人公の家福が泊まる宿を見つけたこともあり、確信を得たのだと語った。広島の魅力について「空気の流れがいい。あれだけ川が流れているなんて知らなかったと、濱口監督とも話しながら撮影していた」と明かした。
 

スピルバーグ監督から「素晴らしい」

第94回米アカデミー賞にて国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」だが、授賞式では隣の席に座っていた女優ジェシカ・チャステインから握手を求められて、信じられなかったと本音を語った。また、スティーブン・スピルバーグ監督からも称賛の言葉を受けた喜びを語った。スピルバーグ監督は、アカデミー賞の作品賞にノミネートされた映画は家族で見るのが恒例だそう。そこで「今年1本だけ、「ドライブ・マイ・カー」だけ家族で誰も批判しなかった。文句なしに良かった。僕も、3時間なんて全く感じなかった。素晴らしい映画だった」という言葉を受けたことを明かした。
 
山本さんは、東京国際映画祭TIFFシリーズ部門でワールド・プレミア上映された「ガンニバル」のプロデューサーも務めている。かなりグロテスクな描写も含む作品だが「この作風をディズニーで扱うことで、新しいディズニーを打ち出せる」と意気込みをにじませた。山本さんがプロデュースした「スパイの妻」の黒沢清監督からも、「なんであれが、ディズニーでできるんですか」と、言われたという。まさにその反応を狙っていたのだと、山本さん。思惑通りに話題が広がっているようだ。


「ガンニバル」より。 (C)2022 Disney

プロデューサーは「最初の観客」

山本さんにとってプロデューサーとは、「監督にとっての最初の観客」だと語る。「監督のことをよく理解していなければならないし、作品のイメージを厳しく、愛情を持って考える。作品の持っている、持ちたがっているイメージを考え続けるしかない」

撮影現場にはなるべくいるように心がけているという。驚かれることもあるというが、「現場に居ることで、映画の重大な岐路を監督やスタッフたちが間違えそうになる時に助けになる」とその考えを語った。

日本での映画作りは資金面でも難しいと語る。若手の映画製作者へのアドバイスとして「本当に企画に自信があるんだったら、直接プロダクションやプロデューサーに持ち込んだらいいと思います」とアドバイスした。
 
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ガンニバル

美しい村には、ある噂がある――この村では人が喰われるらしい。警察官・阿川大悟が暴く、穏やかな日常に潜む“おそろしい”真実とは。全世界震撼のヴィレッジ・サイコスリラー。R18+。

(C)2022 Disney

ライター
山田あゆみ

山田あゆみ

やまだ・あゆみ 1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。

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