いのうえ りゅうた
プロデューサー、映画監督「リスタートはただいまのあとで」(2020年)監督「あちらにいる鬼」(2022年)企画・プロデュース「夜明けのすべて」(2024年)企画・プロデュース「GOOD DREAMS」(2024年)監督
誰もが好みの違いがあると思うが、餃子(ぎょうざ)を食べる時は断然からししょうゆだ。ものまねに過ぎないとしても、「日本の味」のひとつを思い出すための必死の努力で、一年の少なからぬ時間を海外で過ごす者としては、それなりに切実な食習慣なのだ。 これが身につくようになった「根拠地」が、実家の千葉から近い東京・亀戸である。文字通りの「人生餃子」を見つけた土地。亀戸餃子のカウンターに座るまで知らなかった。なぜ店長が餃子を何皿も注文を受ける前提で接客をするのかを。もちろん、しばらくすると誰でも少なくとも3皿以上注文している自分の姿に気付くだろうが。 亀戸出身の〝ブルーミングㆍボイス〟の持ち主 食後は...
洪相鉉
2024.10.24
筆者は 「どちらかというと、ジャーナリストよりアーティストに近い評論家」らしい。 非常にずうずうしいが、これが思いやりの深い日本映画界の仲間たちが、気難しいキャラクターの筆者を説明する時の要諦なのだ。筆者には国際映画批評家連盟(FIPRESCI)の一員としてドイツで活動し、第46回ベルリン国際映画祭と第34回シカゴ国際映画祭の審査委員を務めた叔父に映画評論の作法を師事し、学歴としては海外の4年制芸術大学の演劇映画学科を卒業し、修士号まで取得した経歴がある。しかしとても残念なことに、これで筆者の才能を証明できるわけではない。 富川国際ファンタスティック映画祭で日本映画アドバイザーを務め、...
2024.3.27
生まれも育ちも「亀戸」の滝本隆二郎、通称りゅうちゃん(渡辺隆二郎)は、50歳を目前に鳴かず飛ばずの売れない中年役者の役者バカ。だけど、どんな役でも一生懸命で、人情に厚い人柄は地元住民にとても愛されている。ある日、中華料理店「徐楽」の大将(諏訪太朗)に、親戚の徐リン、通称リンちゃん(松田有咲)の迎えを頼まれる。彼女が光を感じる程度の弱視だと知ったりゅうちゃんが何かと気をかけ手助けをしているうちに、次第に距離が縮まっていく2人。「花火を見てみたい」というリンちゃんの願いを叶えるため、りゅうちゃんは一世一代の大芝居を決意する。 主演は、自身も亀戸生まれ亀戸育ちの渡辺隆二郎。リーゼントがトレードマー...
聴覚や視覚への刺激によって、脳がとろけるようなゾワゾワ、ゾクゾクする感覚になり、心地よさを感じる「ASMR」に魅入られた男女の物語。監督・脚本を務めたのは、「DRILL AND MESSEY」(2016年)がPFFエンタテインメント賞を受賞、続く2017年に「Groovy」でMOOSIC LAB 2017 審査員特別賞と最優秀男優賞を受賞した吉川鮎太。グラビアにて人気を得て、現在は女優としても活躍する染谷有香が、真の快楽を求めていく主人公の明葉を演じる。 清掃の仕事をして生計をたてている守屋(樫尾篤紀)の唯一の趣味は、ASMRの配信を聴くことだった。明葉(染谷有香)はASMR動画の配信者。彼...
2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの原作小説を、「ケイコ 目を澄ませて」(2022年)が、第77回毎日映画コンクールで日本映画大賞・監督賞など5冠に輝き、キネマ旬報ベストテン日本映画ベストテン第1位を獲得、第72回ベルリン国際映画祭のほか20以上の映画祭に出品され、国内外で高い評価を受けた三宅唱監督が映画化。 PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石萌音)は、ある日同僚の山添くん(松村北斗)に怒りを爆発させてしまうが、山添くんもまたパニック障害を抱えていていた。職場の人たちの理解に支えられながら、2人には友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような気持ちが芽生...
作家・井上荒野が、父である井上光晴と母、若き日の瀬戸内寂聴との関係を描いた同名小説を広木隆一監督が映画化。 1966年、小説家の長内みはる(寺島しのぶ)と白木篤郎(豊川悦司)は、パートナーや妻子がありながら男女の仲になる。篤郎は家庭では妻の笙子(広末涼子)の料理を褒め、幼い娘たちを可愛がる夫であり、父だった。 ©2022「あちらにいる鬼」製作委員会