Steven Soderbergh
1963年1月13日 生まれ
映画監督「KIMI/サイバー・トラップ」(2022年)「クライム・ゲーム」(2021年)「プレゼンス 存在」(2024年)監督、撮影(Peter Andrews名義)、編集(Mary Ann Bernard名義)
多様な作風やテーマの作品を矢継ぎ早に手がけているスティーブン・ソダーバーグ監督が、意外にも幽霊屋敷もののホラー映画を撮った。何と幽霊の一人称視点で全編を物語るというユニークな試みである。 住宅街の空き家に親子4人の家族が引っ越してくる。思春期の娘クロエ(カリーナ・リャン)は親友を亡くした喪失感を引きずり、両親や兄もそれぞれ問題を抱えている。そんな一家の日常を見つめ続ける幽霊は、なぜこの家に存在するのか? ソダーバーグ自身が変名で撮影監督を兼任し、ワンシーン・ワンカットの様式で幽霊の「視線」を映像化。幽霊は最後まで姿を見せず、ホラーとしての見せ場はポルターガイスト現象が時折起こる程度で、さし...
2025.3.07
2010年代の初頭に監督業引退を宣言し、いくつかのテレビシリーズに携わったのち、「ローガン・ラッキー」(17年)で復活。その後は持ち前の軽やかで柔軟なフットワークで、コンスタントに新作を放っているスティーブン・ソダーバーグが、ついにホラー映画を発表した。 引っ越し先の新居にいた何か とある住宅街の大きな2階建ての一軒家。そこに親子4人のベインズ一家が引っ越してくる。やがて多感な10代の娘クロエ(カリーナ・リャン)は、家の中に家族とは別の何かが〝存在〟しているのではないかと感じるようになり……。 設定は、このうえなくオーソドックスな幽霊屋敷もの。しかし実験精神旺盛なソダーバーグ...
高橋諭治
2025.3.06
アカデミー賞 受賞監督スティーブン ・ソダーバーグが手掛けたミニシリーズ「フル・サークル」は、黒澤明監督の大傑作「天国と地獄」をベースにしている。1963年に公開された「天国と地獄」は、三船敏郎 ふん する富豪の息子と間違えられて使用人の子供が誘拐されてしまい、真犯人の ゆがん だ動機から、貧富の格差が生み出す社会の ゆがみ をあぶりだす犯罪サスペンスだった。 ソダーバーグとは旧知の脚本家、エド・ソロモンが発案したという「フル・サークル」は、富豪の子供と間違えられてまったくの別人が誘拐されるというプロットは同じだが、「天国と地獄」から約60年を経た今 、現代 の...
村山章
2024.8.19
5年で日本を3000キロ縦断 東北の震災で家族を失ったジャーマンシェパード犬の多聞(たもん)は、離れ離れになった大切な人に会うため5年の歳月をかけて日本を3000キロ縦断する。その途中で出会った人々は多聞と過ごす時間のなかで心が癒やされ人生に希望を見いだしていく。人と人とをつなげながら旅する多聞はどこへ向かっているのか――。 「ラーゲリより愛を込めて」にもクロという犬が 瀬々敬久監督、林民夫脚本と言えば「ラーゲリより愛を込めて」が記憶に新しい。戦後10年、ラーゲリ(収容所)で強制的に働かされた日本人たち。この生活はいつまで続くのか、果たして祖国に帰れる日は来るのか……と希望を見い...
PR東宝
2025.3.10
ダンサーでユーチューバーのひとシネマライターRhythmが書いた映画コラムを読んで、元キネマ旬報編集長・関口裕子さんがこうアドバイスをしました(コラムはアドバイスの後にあります)。 エンターテインメントには作り手の思いが込められている ダンサーでダンスクリエイターであるRhythmさんがテーマとするのは「ダンス」。「マジック・マイク ラストダンス」では、「ダンスとは何か?」が縦軸として、横軸はショーを作り上げる過程と、元ストリッパーのマイクと彼をスカウトした資産家マックスの「人間ドラマ」が描かれる。 注目のダンスシーンは二つ。まずは、マイクがバスの車内で、役人である女性に公演を行う許...
関口裕子
Rhythm
2023.6.24
配信、ケーブルで続々新作 スティーヴン・ソダーバーグが、ネット配信の世界で水を得た魚のように働きまくっている。ソダーバーグといえば、デビュー作「セックスと噓(うそ)とビデオテープ」(1989年)でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞(26歳での受賞は史上最年少記録)。90年代には低迷したが、軽妙な犯罪コメディー「アウト・オブ・サイト」(98年)を機に復活。麻薬ビジネスを俯瞰(ふかん)した群像劇「トラフィック」(2000年)ではアカデミー監督賞に輝き、オールスター映画「オーシャンズ11」(01年)に始まるシリーズは世界的な大ヒットとなった。 しかし、ジャンルを再構築する実験的な手法とワーカホ...
2022.5.08
全編が幽霊目線の一人称で描かれ、観客が幽霊と一体となる映像を体験する新感覚ホラー。監督は、「オーシャンズ」や「マジック・マイク」シリーズ、「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)のスティーブン・ソダーバーグ。「ミッション: インポッシブル」(96年)や「スパイダーマン」(02年)、「ジュラシック・パーク」シリーズなど、数多くの名作を生み出したデビッド・コープが脚本を手がけた。 出演は、「チャーリーズ・エンジェル」(00年)や「キル・ビル」(03年)のルーシー・リューや、「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」USリメイク版の主演に抜擢されたカリーナ・リャンが共演する。 崩壊寸前の4人家...
ニューヨークでギャングのファミリーを率いるマハービーラ夫人(CCH・パウンダー)は、ファミリーに降りかかる悲しい運命を断ち切るため、著名なシェフ、ジェフ・マッカスカー(デニス・クエイド)の孫ジャレッドを誘拐する計画を立て、夫人は実行犯として故郷ガイアナ共和国からルイとザヴィエルという少年を呼び寄せる。一方、上司の命令に背きガイアナ共和国での事件を捜査していた米国郵便監察局のメル・ハーモニー(ザジー・ビーツ)はザヴィエルと出合う。その後、誘拐が実行され、両親のもとに連絡が入り、彼らは対応を余儀なくされるが……。 誘拐事件をきっかけに、登場人物たちの長年の秘密が暴かれていくストーリー展開が秀逸な...
知られざる男性ストリップダンスの世界の裏側を迫力のダンスシーンと共に描く。 全てを失い、ステージから遠ざかっていた元ストリップダンサーのマイク(チャニング・テイタム)は、資産家の女性マックス(サルマ・ハエック) の依頼を受けロンドンへ。人生の再起をかけて世界中のダンサーと《人生最後の挑戦》、一夜限りのラストショーに挑む。 © 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
ギャングのカートは人生をやり直すためのカネ欲しさに、ある会計士が保管している文書を盗み出す計画に参加。しかし思いがけない殺人が発生したことで、文書をめぐる激しい争奪戦に巻き込まれていく。 © 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
シングルマザーのエリン・ブロコビッチは職探しの途中で信号無視の車に衝突される交通事故に遭う。こちらに過失のない事故だから絶対に勝てると弁護士のエドワードはエリンの弁護を請け負うが、金目当ての当たり屋と相手側に匂わされた結果、敗訴してしまう。事故で負傷したにもかかわらず賠償金を得ることもできず、このままでは生活ができないと言い仕事をあっせんするように要求、半ば強引に彼の事務所で働くようになる。 エリン・ブロコビッチとはアメリカの環境運動家であり実在する人物だ。映画「エリン・ブロコビッチ」では環境汚染に対する史上最高額の和解金を勝ち取った彼女の半生が描かれている。