よしだ しゅういち
1968年9月13日 生まれ
小説家原作:「愛に乱暴」(新潮文庫刊)原作:「湖の女たち」(新潮文庫刊)
気づけばスクリーンに、江口のりこがいた。デビューから20年以上のベテランだが、ここ数年の活躍がめざましい。2024年だけで「あまろっく」「お母さんが一緒」「愛に乱暴」と、毛色の異なる主演映画が3本も公開。「愛に乱暴」では次第に壊れてゆく主婦を、恐ろしくも悲しく演じている。 江口が演じる桃子は、夫真守(小泉孝太郎)の実家の離れに夫婦で住んでいる。義母照子(風吹ジュン)を立てつつ、つかず離れず、居心地良く家を整えリフォームを計画し、昔の勤め先が運営するセッケン教室の講師も務め、充実した日々を送る。しかし一方で、気がかりも絶えない。子供に恵まれず、ゴミ置き場でボヤ騒ぎがあり、真守はどこか上の空だ。...
2024.8.30
吉田修一の同名小説に基づく群像ミステリーである。2013年に吉田の「さよなら渓谷」を映画化した大森立嗣監督がメガホンを取り、重層的かつスケールの大きな映像世界を構築した。 琵琶湖近くの介護施設で100歳の老人が不審死を遂げた。若手刑事の濱中圭介(福士蒼汰)と先輩の伊佐美(浅野忠信)は、殺人事件と見なすが捜査は難航。ストレスをため込んだ圭介は、介護士の豊田佳代(松本まりか)にゆがんだ欲望を抱き、孤独な佳代もまた彼との密会に身を焦がしていく。 社会通念上、誰の共感も得られない淫らな性愛をむさぼる男女の軌跡を縦軸にしながら、映画はある薬害事件の真相を追う記者の池田(福地桃子)の取材を通して、戦時...
2024.5.17
「パレード」「悪人」「横道世之介」「怒り」など数多くの小説が映画化されてきた作家、吉田修一と、「MOTHER マザー」(2020年)、「星の子」(20年)の大森立嗣監督が、「さよなら渓谷」(13年)以来10年ぶりにタッグを組む本作。介護施設での不審死をきっかけに、人間が背負う原罪と本質をあぶり出すヒューマンミステリー。 琵琶湖近くの介護療養施設、もみじ園で100歳の老人が不審死する。殺人事件とにらんだ西湖署の若手刑事、濱中圭介(福士蒼汰)とベテランの伊佐美佑(浅野忠信)は、容疑者と見なした当直の職員・松本郁子(財前直見)への強引な追及を繰り返す。さらに、圭介は妊娠中の妻がいながら、取り調べ室...
原作は、「悪人」「さよなら渓谷」「横道世之介」「怒り」など、多くのベストセラーが映画化されてきた吉田修一の同名小説。愛のいびつな衝動と暴走を描く。監督・共同脚本は、第39回ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞した初の映画長編作「おじいちゃん、死んじゃったって。」(2017年)や「さんかく窓の外側は夜」(2021年)を手掛けた森ガキ侑大。「愛がなんだ」(19年)や「波紋」(23年)、「アンダーカレント」(23年)、「あまろっく」(24年)など、出演作が続く江口のりこが主人公の初瀬桃子を演じる。共演は、桃子の夫・真守役を小泉孝太郎、真守の母・照子役に風吹ジュン、真守の不倫相手・奈央役に...