「夜、鳥たちが啼く」
若くしてデビューしたが、その後は鳴かず飛ばずの小説家の慎一(山田裕貴)。同棲(どうせい)していた恋人に去られ、鬱屈した日々を送っていた彼のもとに、先輩の元妻の裕子(松本まりか)が息子を連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らした一軒家を2人に提供、自身は離れのプレハブで寝起きを始める。裕子はさみしさに耐えられず、出会いを求め夜の街に出かけていく。 原作は佐藤泰志の短編小説。疑い深く不安と自身へのいらだちから相手を傷つけてきた慎一と、母としての責務と埋められない孤独との葛藤で苦しむ裕子。ぎごちない心を体現した2人が、これまでのイメージを拭い去って役に血を通わせた。危うさやもろさが、息づかいや目の...