Paul Thomas Anderson
1970年6月25日 生まれ
今日は若い男女がはつらつと走り回る、すごく元気な映画をご紹介しましょう。子どもが大人に成長すること、そして男女の出会い、英語で言えばカミング・オブ・エージとボーイ・ミーツ・ガールは、どちらも映画でおなじみですが、定番だからこそ工夫がないと面白くない。そこにちゃんと仕掛けがあるので退屈せずに引き込まれる作品です。 年の差10歳 臆せずナンパ 時代は1970年代の初め、舞台はロサンゼルス郊外のサンフェルナンドバレー、まだ15歳の少年ゲイリーと、25歳の女性アラナが出会います。アラナは写真撮影のために高校を訪れたカメラマンの助手、ゲイリーは写真撮影のために列に並んでいる高校生の一人...
藤原帰一
2022.7.06
カンヌ、ベルリン、ベネチアの3大映画祭で監督賞を受賞し、米アカデミー賞ノミネート歴も数知れず。今や米国を代表する監督となったポール・トーマス・アンダーソン(以下、PTA)が、自らが育った思い入れある土地で、「ブギーナイツ」などの初期作品の舞台にもなったカリフォルニア州サンフェルナンド・バレーに回帰した。時はオイルショック、ウォーターゲート事件に揺れた1973年。しかしPTAが描くのは政治でも経済でもなく、偶然めぐり合った男女の青春物語だ。 子役のゲイリー(クーパー・ホフマン)は、傲慢なくらい自信家の高校生。カメラマン助手のアラナ(アラナ・ハイム)は、将来の展望が開けない25歳。恋愛映画のカッ...
2022.7.01
昨年末、ショーネシー・ビショップ・ストールなる人物が、10年かけて体を張り、自らを実験台に二日酔いを研究した結果をまとめた愉快な書物「二日酔い その正体を探し求めて」(国書刊行会)が刊行された。本書は、著者であるストールが実際に酒を浴びるように飲み、強烈な二日酔い状態になったところで、諸説ある二日酔い対策を試してみるという内容だが、その端々で、二日酔いがこれまでどのように語られてきたかを示す言説の引用がちりばめられ、〝飲酒の文化史〟といえる要素もささやかに内包されている。そして、そんな挿話のひとつに面白い話があった。 開巻5分 圧巻の泥酔ぶり それはアメリカの禁酒法時代の...
髙橋佑弥
2022.6.12
ロバート・ダウニー・Jrが、亡き父ロバート・ダウニー・シニアにささげるドキュメンタリー。映画界のパイオニア、監督そして俳優として多岐にわたる活躍を見せた父のキャリアと生涯に迫る。 Netflix (C) 2022
1970年代の米国サンフェルナンドバレー。高校生のゲイリー(クーパー・ホフマン)は写真撮影のアシスタント、アラナ(アラナ・ハイム)に一目ぼれして猛アタック。家族と窮屈な生活をするアラナは、俳優で実業にも興味を示すゲイリーに興味を覚え、2人は次第に親しくなっていく。 © 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
第二次世界大戦後、復員兵フレディ・クエル(ホアキン・フェニックス)は、密航した船で新興宗教「ザ・コース」の教祖ランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)と出会い、以後教団の活動に加わることになる。