「ある殺人、落葉のころに」
「3泊4日、5時の鐘」でデビューした三沢拓哉監督の第2作。舞台は同じ神奈川・大磯だが、軽快なコメディー調の前作とは一転、不穏な空気漂う群像劇だ。 同じ高校を卒業して地元で暮らす4人組。全員が和也(森優作)の父親が経営する土建屋で働いている。ダラダラとつるむ4人だが、和也を中心とした微妙な力学が働いている。社長の息子に対する遠慮や追従、権高な態度への反感。俊は死んだ恩師の妻にひかれ、恋人のいる英太は和也に気を使う。知樹は俊に好意を寄せている。 説明せずにほのめかすだけ。言葉にはされず、はっきりとは表情にも表れないものの、押し殺した感情を確かに感じさせる。人間の機微を映像で捉えようとする才気は...