なかむら ともや
1986年12月23日 生まれ
「ハケンアニメ!」(2022年)「ウェディング・ハイ」(2022年)
ある日突然、最愛の娘が行方不明に。「空白」の吉田恵輔監督が、そんな現実の事件を想起させる事態に陥った母親の姿を見すえたサスペンスフルな人間ドラマだ。 娘の失踪から3カ月後。母親の沙織里(石原さとみ)は、夫の豊(青木崇高)とともにビラまきなどの懸命の捜索を行っているが、世間の関心はすでに薄れかけている。そんなとき事件発生時の沙織里の行動が明らかになり、ネット上で猛批判を浴びてしまう。 匿名の利用者がSNSに書き込む主人公への誹謗(ひぼう)中傷の数々。沙織里の心のよりどころは取材を続けるテレビ局記者の砂田(中村倫也)だけだが、メディアは事件を視聴率稼ぎのネタとして扱おうとする。〝失踪〟を意味す...
2024.5.24
吉田恵輔監督の映画は、コーナーギリギリのクセ球だ。人間のイヤな面をさんざん見せられて、しかし最後には救いと希望が残る。「ミッシング」では石原さとみ演じる母親が、失踪した娘を半狂乱で探し、最後までもがき苦しみ続ける。「賭けだった」という石原の起用は「スゲーものになった」と驚くほどの大成功。会心の吉田監督に聞いた。 幼い娘が失踪 探し続ける母親 幼い娘・美羽の失踪から3カ月。沙織里は夫の豊と共に毎日街頭に立ち、情報提供を呼びかけるビラを配り続けているが、進展はない。ローカルテレビ局の記者・砂田はその姿を取材し続け、ニュースの特番として定期的に報じていた。しかし視聴率を求めるデスクは...
勝田友巳
2024.5.23
「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)は、最近劇場で見た映画のなかではピカイチのおもしろさだった。100人が見たら90人以上が「おもしろい!」と思うのではないだろうか。それくらいエンタメとしてよくできているのである。 「勝ち負けがすべてではない」エッセンス損ねずわかりやすく ストーリーはいたってシンプルでわかりやすい。春アニメの「覇権」をめぐって二つの作品が視聴率を競い合い、その過程でアニメ制作に携わる登場人物たちの思惑や葛藤がぶつかりあって、見どころのある人間ドラマを生み出していく。まさに王道の展開だ。随所にユーモアを挟んで緩急をつけつつ、「好き」を追求する人々の熱量を説得的に描...
伊藤弘了
2022.8.16
「こんなにたくさんの人が、作品づくりに関わっているんだよ」。幼稚園くらいの時だったと思う。アニメーション映画のエンドロールを見ながら、隣にいた母がつぶやいた。 それから私は、作品を鑑賞する際はエンドロールに注目するようになった。何が書かれているかわからない洋画でさえも、食い入るようにして見ていた。名前の数だけ人の思いが込められていると思うと、作品をよりいとおしく感じられたのだ。 泣きながら終電で帰った、制作進行のつらい日々 月日は流れ大学の卒業が近づき、職業選択を迫られた私は、「エンドロールの一部になりたい」という理由でアニメーション制作会社に入社。そして「制作進行職」...
きどみ
2022.6.16
アニメの新人監督、瞳(吉岡里帆)は念願のデビューを果たすが気合が空回りし、制作現場は重い空気に包まれる。瞳を起用したプロデューサーの行城(柄本佑)はビジネス最優先だ。そんな時、天才監督と呼ばれる王子(中村倫也)が復帰。彼の復活にかけるプロデューサーの香屋子(尾野真千子)は王子のわがままに振り回される。 アニメ業界を舞台にした「お仕事ドラマ」といった様相。どうアニメが制作されて、どんな苦労があるかがよく分かる。瞳がアニメ作りに向ける純粋な思いは、新人らしい熱っぽさにあふれている。行城の意向で宣伝活動に駆り出され、本来の仕事に専念できないもどかしさは、働く人なら誰もが共感するはずだ。 日本で作...
2022.5.20
彰人(中村倫也)と遥(関水渚)は、ウエディングプランナー中越(篠原涼子)に支えられ結婚式当日を迎えた。しかし、主賓のスピーチや新郎新婦のVTR製作、乾杯の発声など定番の演目に並々ならぬ情熱を燃やす上司らが暴走し、予定時間を大幅にオーバー。遥の元恋人(岩田剛典)や謎の男(向井理)も加わって披露宴は大混乱に。 結婚式で実際にありがちなトラブルを寄せ集めた群像コメディー。笑いのネタをきっちり回収したまとまりの良さはあるが、少し時代を後戻りして見せられている感覚が序盤からラストまで続き、古めかしさは拭えず。ドタバタはあっても、エピソードを1時間半ぐらいに絞り込んだらあまり気にならなかったかもしれない...
2022.3.17
あのダメ刑事コンビが帰ってきた! 張り込んでいるだけの〝異状なし〟(=NO ACTIVITY)のはずが予想外のトラブル連発⁉ 万年ヒラ刑事・時田(豊川悦司)と、刺激と人の不幸が大好きな相棒の椎名(中村倫也)は、重要容疑者のヤクザ組長・折原(高橋克典)を逃してしまう。時田は恋する路上ミュージシャンの冬花(白石麻衣)をなぜか巻き添えにして追跡するが、次々とトラブルを巻き起こし、ヤクザと中国系マフィアの大抗争に発展⁉ 無線係のジコチューでパワハラ気質のチーフ・美里(木村佳乃)と真面目だがキレたらヤバい部下・阿漓羅(清野菜名)は新人の四角(岡部大)と時田たちを追うが、脱線しまくりで警視庁は大混乱。 ...
ハッタリだらけで全く仕事しないベテラン刑事時田信吾(豊川悦司)と、刺激欲しさに時田に付き従う相棒椎名遊(中村倫也)の型破りな刑事コンビが、完全に場違いな国際麻薬取引事件の捜査に派遣されてしまう。彼らに無線室から指示を出す里見美里(木村佳乃)と大平阿漓羅(清野菜名)は、ただの世間話をしていたはずがいつの間にか恐ろしい事態に発展。そしてその頃、倉庫に潜む犯罪者コンビ、諌山(岸谷五朗)と一条(岡山天音)は、誘拐の被害者であるはずの茉莉(岸井ゆきの)に翻弄(ほんろう)されていた……。三者三葉のシチュエーションに登場する変人たちが重大事件を引っかき回す、全く新しいコメディー&サスペンスドラマ。 「No...
話題を集めたドラマ「ブラッシュアップライフ」で、国内外で多くの賞を受賞したクリエイター水野格による完全オリジナル脚本作品。次々と人が消えると噂されるマンションを舞台に、配達員の青年・丸子と先輩配達員の荒川が、怪しげな住人らの〝秘密〟を知ってしまったことで大事件に巻き込まれていくミステリー。主人公の丸子を演じるのは、「交換ウソ日記」(2023年)で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、「劇場版 君と世界が終わる日にFINAL」「からかい上手の高木さん」「ブルーピリオド」(いずれも24年)と、話題作への出演が続く高橋文哉。丸子の職場の先輩で小説家を夢見る男・荒川役を「あなたの番です」や、「お...
Amazonスタジオが製作を担当し、東宝が配給するという新しいスタイルで2023年秋に公開された映画「沈黙の艦隊」に、劇場未公開シーンを加え、東京湾で勃発する大海戦というクライマックスまでを全8話で描くオリジナルドラマ。原作は紙・電子を合わせ、累計発行部数3,200万部を超えるかわぐちかいじによる同名の大ヒットコミック。 海上自衛隊の潜水艦が米原潜に衝突し、艦長の海江田四郎を含む全76名が死亡とのニュースは、日米政府が極秘に建造した高性能原潜「シーバット」に彼らを乗務させるための偽装工作だった。ところが、海江田はシーバットに核ミサイルを積載して逃亡。海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと...
幼女の失踪事件が起き、見つからないまま3カ月が過ぎていた。娘の美羽の帰りを待ち続けるも、世間の関心が薄れていくことに焦る母親の沙織里は、夫との温度差から、夫婦喧嘩が絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者、砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られ、ネット上で〝育児放棄の母〟と誹謗中傷の標的になる。沙織里は、好奇の目に晒され続けることで次第に言動が過剰になり、いつしかメディアが求める〝悲劇の母〟を演じていた。一方、砂田には視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下る。それでも沙織里...
昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島・呉原――。そこは、いまだ暴力団組織が割拠し、新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の「加古村組」と地場の暴力団「尾谷組」との抗争の火種がくすぶり始めていた。そんな中、「加古村組」関連企業の金融会社社員が失踪する。失踪を殺人事件と見たマル暴のベテラン刑事・大上と新人刑事・日岡は事件解決のために奔走するが、やくざの抗争が正義も愛も金も、すべてをのみ込んでいく……。警察組織のもくろみ、大上自身に向けられた黒い疑惑、さまざまな欲望をむき出しにして、暴力団と警察を巻き込んだ血で血を洗う報復合戦が起ころうとしていた……。 ©2018 「孤狼の血」製作委員会
かわぐちかいじの同名漫画を原作に実写映画化。「モーニング」(講談社)で連載された原作漫画は、累計発行部数3,200万部(紙・電子)を超えるヒット作品。日米共同で極秘裏に建造された日本初の原子力潜水艦の艦長・海江田四郎が、理想とする世界の実現へ向けて、原潜の乗員 76 人共に航海中に逃亡し、大胆なシナリオと、天才的な戦闘術で日米政府を翻弄するストーリーは、核戦争や国際政治、世界平和など、重厚なテーマを浮き彫りにし、多くのファンを生み出した。 映画化にあたっては、Amazonスタジオが劇場版製作を担当し、東宝が配給するという新しいスタイルが試される。制作は、映画「キングダム」シリーズや「銀魂」シ...
「虹色デイズ」(2018年)、「ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち」(2021年)、「野球部に花束を」(2022年)の飯塚健監督が、オリジナル脚本で、家族愛をコミカルに描いたエイリアンコメディ。主演は、映画、テレビ、舞台など幅広い活躍をみせる中村倫也。真田家四兄妹の次男・日出男として訳アリな宇宙人を演じる。しっかり者の長女・想乃役を演じるのは、映画やドラマに引っ張りだこの伊藤沙莉。真田家の親代わりの長男・夢二役は、お笑いコンビ「バナナマン」の日村勇紀。頼りない三男・詩文役は、幅広い役柄を演じ分ける柄本時生が演じる。 真田家の四兄妹の次男・日出男(中村倫也)は、人間の生態を調査するために、土星か...
辻村深月の小説を原作に、「覇権」=視聴率トップを目指すアニメ制作の現場を描く。新人監督の瞳(吉岡里帆)は張り切りすぎて、現場がギクシャクし始めた。ビジネス最優先のプロデューサー、行城(柄本佑)は無理な要求で瞳を振り回す。一方、同じクールで放送されるアニメを担当する天才監督、王子(中村倫也)は行方不明に。プロデューサーの香屋子(尾野真千子)は窮地に追い込まれた。
ウエディングプランナー中越は、彰人と遥の担当となった。彰人と遥は式のスピーチや余興の段取りなどに頭を悩ませながら、準備を進めていく。当日、上司のスピーチは予定時間を大幅にオーバー、遥を奪還しようとする元恋人裕也や謎の男も登場して、披露宴は大混乱する。